テニス規則の知識

 
■テニスのルール・試合方法・マナーの知識
 
 

 

 
 
■テニスの規則
 
 
23年、パリで開催された国際ローンテニス連盟(現国際テニス連盟:ITF)の年次総会において、世界で初めて公式テニスルールが制定されました。
 
 
2013年現在、210か国と地域が加盟するITFでは、時代の変化とともにテニス規則に検討を加えてきた。毎年発行されている15種類のルールブックやハンドブックはインターネットで閲覧することができます(http..//www.itftennis.com)。
 
 
テニス規則は「チェアアンパイア、ラインアンパイア、ボールパーソンがいて試合がおこなわれている」という状況を前提にしてつくられています。
 
 
@−コートの準備

 

 

1、シングルスのコート

 

ダブルスコートを使ってシングルスの試合をする場合、シングルスサイドラインの外側から91.4cmの位置にシングルススティックの中央がくるように立てます。シングルススティックを2本立てたあとにネット中央のスクラップの高さ91.4cmを測ります。

 

 

2、ダブルスのコート

 

ダブルスの試合の場合、両端のポストまでネットをしっかりと引っ張って空間のないように縛り、その後、ネット中央の高さ91.4cmを測ります。

 

 

A−トス

 

 

試合のウォーミングアップを始める前にトスをし、トスに勝った選手は次の3つのうちから1つを先に選ぶことができます。

 

・サーバーになるかレシーバーになるか

 

・どちら側のコート(エンドという)でプレーを始めるか

 

・トスの敗者に上記のどちらかを先に選ばせる

 

 

トスに負けた選手は相手選手の後で選択します。主審はコインを投げて決めるが、主審がいない試合では選手がラケットを回して決めてもよい。

 

 

B−遅刻

 

相手選手が10分以上遅刻してコートに到着した場合は、先に待っていた選手がトスに勝ったことになり先に選ぶことができます。ウォームアップ後、1−0から試合をスタートします。15分以上遅れて来た場合は試合に出場できません。

 

 

C−サーバーとレシーバーの義務

 

サーバーはレシーバーが構えたのを確かめてからサーブを打ちます。レシーバーはサーバーの理にかなったペースに合わせて構えなければなりません。

 

打とうとしているサーバーを待たせ、ぐずぐずして構えないレシーバーは、主審からペナルティ(タイムバイオレーション)を与えられます。

 

主審がいない試合でこのような状況が起きた場合は、ロービングアンパイアを呼んで事情を説明し、コート上で試合の様子をチェックしてもらうことが出来ます。

 

 

D−まぎわらしいフォールト

 

主審がいないセルフジャッジの試合では選手がフットフォールトをコールすることは出来ません。もし相手選手がフットフォールトをしているように見えたら、ロービングアンパイアを呼んでコート内でチェックしてもらうことが出来ます。この場合ロービングアンパイアは両方の選手のフットフォールトをチェックします。

 

 

E−まぎわらしい失点と有効返球

 

ダブルスコートにシングルススティックを立てて試合をする場合、シングルススティックを立てた外側にはみ出しているネットとポストは本来シングルスには不要なものです。

 

この不要な部分にボールがあたった瞬間、そのボールを打った選手は失点します。逆にその不要な部分に選手がタッチしても失点しません。ベンチやフェンスに当たった場合と同じ扱いになります。

 

しかし、サーブのボールがシングルススティックに当たった場合はフォールトとなり、サーブ以外のラリー中のボールが当たった場合は有効返球としてプレーを続けなければなりません。

 

 

F−相手選手への妨害

 

 

1、気を散らしてミスさせようとする行為

 

主審が「ヒンダランス」とコールして相手選手に1ポイントを与えます。妨害行為かどうかは主審が判断するが、主審がいない試合で相手の言動によってプレーに集中出来ない場合は、ロービングアンパイアを通してレフェリーを呼んでもらい、事情を話して妨害かどうか判断してもらいます。

 

 

2、目障りになる落し物をする行為

 

意識的に妨害しようとした行為ではないので1回目だけは注意を受け、そのポイントをやり直します。しかし、2回目からは、相手のプレーを妨害したものとして落とすたびに1ポイント失います。

 

この例外としてラケットを落とした場合と靴が脱げた場合があります。相手の気が散るのは確かだが、それより落とした選手のほうが明らかに不利な状況であるから「レット」にはならず、プレーを続けます。

 

主審のいない試合では選手が「レット」をコールすることができます。プレー中に物を落としたことに両選手がまったく気がつかず、プレーを続けポイントを決めたあとに落し物に気がついた場合は、プレーになんら支障がなかったので妨害になりません。

 

 

G−不可抗力の妨害

 

主審が「レット」とコールしてプレーを中断し、そのポイントをやり直すことができます。主審がいない試合では選手が「レット」をコールすることができます。選手には妨害のない正しいコート状況でプレーをする権利があります。

 

しかし例外として、観客のたてる音や声は妨害として考慮されません。観客の「アウト」の声を選手が線審の声と勘違いしてプレーをやめてしまった場合も、失点となります。

 

 

H−選手が守る論理規定(コード)

 

選手には、大会関係者や審判員に節度ある態度をとり、観客がプレーを楽しめるようにスポーツマンらしい態度で正々堂々と戦う責任があります。

 

試合中は違反すると主審から1回目は「コードバイオレーション」(論理規定違反)の警告を受ける。2回目は1ポイント失い、3回目以降はそのために1ゲーム失います。

 

悪質なケースではレフェリーによって失格を与えられることもあります。違反事項別にサスペンションポイントが決められていて、累計が5ポイントになると出場停止の処分を受けます。

 

 

1、ダブルエントリー

 

申し込むのはいくつしても構わないが、ドロー作成の前日にはどの大会に出場するか決めて、出場しない大会へ出場辞退届けを必ずFAXします。これを怠るとその大会と選手に迷惑をかけることになり、サスペンションポイントを受けます。

 

 

2、出場取り消し

 

大会へ申し込みをしたあとに都合が悪くなり出場できなくなったときは、至急レフェリーに書面で連絡します。試合のスケジュールにも影響がでるので、できるだけ早く連絡する必要があります。病気、けが、家族の不幸の場合はサスペンションポイントの対象にはなりません。

 

 

3、試合中の見苦しい言動

 

スポーツマンシップに反する行為などは主審が判断し、コードバイオレーションを与えます。主審がいない試合では、ロービングアンパイアを通じてレフェリーを呼んでもらい、状況を伝え対処してもらうことができます。

 

 

4、服装

 

服装については、ウォームアップスーツを含めてロゴ(大きさと数)などがきめられています。違反しているウエアは着替えないとプレーは許されません。しかし、違反したウェアしかなく誰からも借りれない場合は、初日のみはレフェリー判断で特別にプレーを許されるのが通例です。

 

 

5、コーチング

 

フェンスの外から応援するのは構わないが、選手にアドバイスするとコーチングという規定違反になり、1回目は選手が主審から警告を与えられ、2回目以降はそのたびに1ポイント失います。

 

団体戦のベンチコーチは試合中に選手にアドバイスできるが、それはエンドチェンジの時に限られます。(タイブレイク中のエンドチェンジではアドバイスできない)。

 

 

6、団体戦の悪質な応援

 

団体戦では観客が相手選手のプレーを妨げたり、侮辱する言葉を使った悪質な応援をすると、1回目は「パンチザンクラウドルール」に従って主審から警告を与えられ、2回目以降は、妨害するたびに相手チームに1ポイントが与えられます。

 

団体戦のベンチコーチは選手と同じ論理規定をまもらなくてはいけません。ベンチで違反行為をすると主審から1回目と2回目は警告を受け、3回目には退場を命じられます。

 

 

I−休憩および中断が許される時間

 

 

1、ポイント間、エンドチェンジ、セットブレイク

 

ポイントが決まってから次のサーブを打つまでの間20秒、エンドチェンジの90秒、セットブレイク(各セット終了後)の120秒を主審が測ります。

 

 

2、インジュリータイムアウト

 

試合中にけがをした場合はトレーナーに診断を頼み、3分間の手当を受けることができます。

 

 

3、トイレットブレーク

 

試合中にトイレに行きたくなったらセットブレイクのときに5分間のトイレットブレイクを取ることができます。
 
 
Jーセルフジャッジの試合におけるプレーヤーの役割
 
ェアアンパイヤのいないルフジャッジの試合ではプレーヤー自身がラインジャッジをします。相手プレイヤーのジャッジを信頼して受け入れ、自分のジャッジは公明正大におこないます。
 
スコアが分からなくなったり、けがをしたり、飲み物を補充などをする場合は、ロービングアンパイヤを呼んで対処してもらうことができます。
 
 
<セルフジャッジの方法>
 
・ネットから自分側コートの判定について、相手に聞える声とハンドシグナルを使って、「アウト」、「フォールト」をコールします。ボールがラインにタッチしたとき、またはボールを見失ったときはグッドとします。
 
・サーバーはサーブを打つ前にレシーバーに聞こえる声でスコアをアナウンスします。
 

・サーブがネットに触れたときはレシーバーが「(ネット)レット」をコールします。
 
・インプレー中、他コートからボール、プレーヤー、ラケットが入ってくるなどの妨害が起こった場合は、レットをコールして、そのポイントをやり直します。
 
・インプレー中、身につけている持ち物を落とした場合、相手プレーヤーへの妨害となり相手プレイヤーがレットをコールできます。
 
・スコアがわからなくなったときは、両プレイヤーが合意できないポイントは取り消し、合意できたポイントを合算したスコアから再開します。
 
・クレーコートでは相手プレイヤーにボールマークの確認を要求できます。ネットを越えて確認してもかまいません。両者の判定が食い違った場合はレフェリーが最終判断をします。
 
 
■試合方法

 

 

1、ゲームのスコア

 

0ポイントは「ラブ」、1ポイントは「フィフテーン」、2ポイントは「サーティ」、3ポイントは「フォーティ」といい、2ポイント以上の差をつけて4ポイント取ると1ゲームとなります。

 

両選手が3ポイントずつ取ると「デュース」となり、次のポイントを取った選手は「アドバンテージ」、同じ選手が次のポイントも取ると1ゲーム取ったことになります。

 

 

2、セットのスコア

 

5セットマッチは3セット先取したら勝ち、3セットマッチは2セット先取したら勝ち、8ゲームズプロセットは2ゲーム以上の差をつけて8ゲームを取ったら勝ちです。

 

 

3、タイブレークスコア方式

 

試合が長引くのを防ぐために、1セットの場合ゲームカウントが6ゲームオールになったときにタイブレークを採用します。2ポイント以上の差をつけて7ポイント先取した方を勝者とします。

 

・そのセットの最初にサーブを行った者からサーブをします。

 

・最初にサーブを打つ人はデュースコートから一本で、二人目からはアドコート、デュースコートという順番で二本打ちます。

 

・どちらかが7ポイントを取った時点で終了し、勝者がそのセットを獲得します。ただしポイントが6対6になった場合はその後、2ポイント差がつくまで続けられます。両者のポイントが6の倍数になったときにコートチェンジを行います。

 

 

4、マッチタイブレーク方式

 

3セットマッチ、5セットマッチの試合で1セットオール・2セットオールになってファイナルセットに入る時、通常のゲームではなく、タイブレークゲームにしてファイナルセットの代わりにする方法です。

 

マッチタイブレーク(10ポイント)は2ポイント以上の差をつけて10ポイント先取した方が勝者となる試合方式です。

 

 

■テニスのマナー

 

トーナメント会場および試合コートでプレーヤーはスポーツマンシップに則って、行動や言葉遣いに責任をもつことが求められます。

 

 

@コード オブ コンダクト

 

コードはJTAルールブック第4部コードオブコンダクトとして掲載されています。コード違反をすると、大会やスポンサーに多大な迷惑をかけ、エントリーしている他のプレイヤーに大きな影響を及ぼす場合があるのです。

 

 

1、エントリーとウィズドロー
 (申し込みと取り消し)

 

トーナメントのエントリーとウィズドローは期限を守ること、トーナメントの広報、プログラム内容、予選や本選への繰上りなどへ関係するので気をつけることです。

 

 

2、トーナメント会場でのコード

 

・試合に勝つためにベストを尽くします。

 

・試合コートの上でボールやラケットを乱暴に扱ってはいけません。

 

・試合コート上で、相手プレイヤーやアンパイア、観客に対して、中傷や侮辱する言葉、放送禁止用語や聞き苦しい言葉を使ってはいけません。

 

・コーチングを受けてはいけません。また、指導者は会場内で相手プレイヤー、アンパイア、観客、トーナメント役員などに対して言葉やジェスチャーを使って侮辱したり暴力を振るうことはいけません。

 

・トーナメント会場内では試合中も含めて、すべての人に対してスポーツマンシップや礼儀をわきまえ、プレイヤーの品格、トーナメントの品格を損なわないよう言動に責任を持たなければなりません。

 

 

Aスポーツマンシップについて

 

スポーツマンとは運動する人と言う意味のほかに、いい仲間、自立した信頼できる人という意味をもちます。ではスポーツマンシップとは何でしょう。

 

スポーツの試合は@ルール、A競い合う相手プレイヤー、B審判の3つの条件を必要とします。この、3つの意味を理解し、その価値を認め尊重することがスポーツマンシップなのです。

 

審判のいないセルフジャッジ方式をとるテニスの試合では、プレーヤーには真のスポーツマンシップが問われるのです。
 

 

参考資料:テニス指導教本T

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