■車いすテニスの歴史と特徴の知識
1、車いすテニスの歴史
車いすテニスの始まりとしては、アクロバットスキーの選手であったアメリカのブラッド・パークスが競技中の怪我により下半身不随になり、ジェフ・ミネンブレイカーと共に車いすの改良を含め、本格的な競技スポーツとして成立させたのが始まりだとされています。
2、車いすテニスの特性
1. 特異性・相違点
@ 身体的特徴
a. 常に手(腕)を使わなければなりません。
→握力、腕力、背筋力など、上半身の疲労が激しくなります。
b. 身体の回転(ひねり)を使うことができません。
→脊髄を損傷している選手は、腰を使用してストロークすることができません。よって、いわゆる「手打ち」が基本動作になります。
c. 視野が低い。
→車いすに乗っているために、必然的に視野が低くなり、相手をネット越しに見ざるをえません。このため、ラインの確認、相手の動き、ラケット面などの予測を阻害する要因が多くなります。
d. 障害には個別性があります。
→車いすに乗ってプレーする人達は、それぞれ障害の度合いが違います。指導者と選手のコミュニケーションによって、選手の身体的特徴を知ることが必要とされています。
A運動形態
a. ほとんどのボールがネットより低い位置で打たれます。
→フラット系の直線的なボールは確率が低く、ドライブが効いたボールの方が確率よくコートに入れることができるのです。
b. 高さの制限がある
→車いすではジャンプが出来ません。座位にあるため、高い位置のボールに弱くなり、このボールの処理がカギとなります。
3.車椅子の特徴
一般の人がテニスをするためにテニス用のシューズに履き替えるように、車椅子テニス選手はテニス用の車椅子に乗り換えます。選手の身体的特徴(座の高さ、シートの角度など)にあわせた特別注文のものを選びます。
最近は、前輪に小さいタイヤ(キャスターと呼ぶ)1つと、後輪に大きいタイヤ2つの3厘タイプが主流です。これに、後ろにも小さいタイヤ(キャスター)のついた、十字4輪タイプも多く見られるようになってきています。
参考資料:テニス指導教本T