体力とはの知識

 

 

なぜ、体力について学ぶ必要があるのか?それは指導者が知っていなければ選手を身体的にも競技的にも安全に効率よく育てられないからです。

 

 

質の良くないトレーニングは効果が期待できません。例えば、筋肉を増やしたいトレーニングで負荷や回数を間違うと筋肉が増えないばかりか故障の原因にもなります。

 

 

競技性を考えていないトレーニングは競技力が上がりません。例えば、瞬発系の競技なのに、持久系のランニングばかりしていると競技成績は上がりません。

 

 

このように、ここでは体力とは何かを理解して各競技に必要なトレーニングを行うための基礎を学びます。

 

 

■体力の概念・行動体力と防衛体力とは

 

 

体力は、大きく身体的要素と精神的要素がありますが、身体的要素とは身体を動かすすべての事、精神的要素とは身体活動を行う意思・判断・意欲になります。ただ、精神的要素は体力に含まないという捉え方もあります。

 

 

体力は行動体力(活動能力)防衛体力(生存能力)に分けられます。

 

行動体力 @行動を起こす能力                       筋力、瞬発力
            A行動を持続する能力                    持久力(筋持久力、全身持久力)
            B行動を調整する能力                    調整力(平衡性、巧緻性、敏捷性、柔軟性)

 

さらに、行動体力はエネルギー系とサイバネティックス系に分かれます。
    @エネルギー系          筋力、敏捷性、持久力、パワー
      Aサイバネティックス系(神経系) 平衡性、柔軟性、調整力

 

エネルギー系は直接の力を出す筋力とスピード、力の持久力・スピードの持久力・パワーの持久力の中間的な体力要素にも分けられます。

 

サイバネティックス系はコーディネーションとも言われています。特に球技などの複雑な動きのバランス調整や効率よく力を出すための入力と出力を高める能力です。

 

防衛体力 @物理化学的ストレスに耐える能力   気温、気圧、振動、加速度、化学物質など
            A生物的ストレスに耐える能力         細菌、ウイールス、寄生虫など
            B生理的ストレスに耐える能力         空腹、不眠、口渇、疲労など
            C精神的ストレスに耐える能力         緊張、不快、苦悩、恐怖、悲哀など

 

 

■行動体力の種類と特性とは

 

 

競技性を考える基礎として、体力をエネルギー供給機構からとらえた生理学な分類もあります。エネルギー供給機構というと難しく感じますが、力を出せる時間の分類と考えてください。

 

ATP-CP系(無酸素)     大きなエネルギーを短時間に速く出せます。
乳酸系(無酸素)       中間的なエネルギーを出せます。
有酸素系(有酸素)               小さなエネルギーを長時間ゆっくり出せます。

 

これを陸上のパワー別に分類すると
ハイパワー        ATP-CP系      100m                 
ミドルパワー       ATP-CP系+乳酸系  200m、400m
             乳酸系+有酸素系   800m
ローパワー        有酸素系       マラソン

 

 

これらは体力の基礎として持っていなければならない知識ですが、これらを動員してパフォーマンスを上げていくには心理面の強化が無ければ進みません。なぜなら、厳しいトレーニングを行うにはモチベーションが高くなければやりません。

 

 

このモチベーションに必要なのがメンタルです。しかし、あくまでも体力もメンタルも重要な要素ではありますが、テクニックや戦術など総合的な視点を持ってトレーニングすることが求められます。

 


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