■ダブルスの戦術の知識
1、ボールコントロールとポジショニングのセオリー
ダブルスでは2人でコート全体をカバーするため、2人のプレーヤーがそれぞれどの範囲を守るのかを理解しておく必要があります。
ダブルスのポジショニングで気をつけることは合理的待機位置の考え方です。相手が打ってくる範囲を2等分するのが基本の考え方ですが、ダブルスにおいてはポジションが前後になるため、前衛の守備範囲が優先で、残りの守備範囲を後衛が守るので単純に2等分のポジショニングにはなりません。
前衛が守れる範囲が大きければ、後衛の守備範囲は小さくなります。あまり前後差がない平行陣の場合だと、縦割りの守備範囲になり、およそ2等分になります。
特に、サーブのコースに基づくレシーバーの打球ポジションに応じて、反射的に守備範囲を変化させていくことが大切です。もちろん、ラリーでも相手の打球ポジションを見ながら自身のポジションを変えていくことが相手にプレッシャーをかけることに繋がります。
2、ポーチのセオリー
本来であればサーバー(またはレシーバー)がとるべき打球を、サーバー(レシーバー)のパートナーが、そのポジションから移動して打球し、ポイントをとろうとする、ダブルス特有のプレーの1つです。
動きの基本としては(特にサービス側のポーチ)サーブのコース方向へ少し前進してレシーバーの打つコースを狭くして、後衛に返球するコースに踏み込んでポーチを行います。前衛がポーチに出た場合、後衛は前衛の守備範囲をカバーするためのポジショニングが必要です。
ポーチにおいては、シンプルに空間的オープンコートにボールコントロールすることがセオリーです。
3、ダブルスに特有のプレー
@サーブ時のパートナーのポジショニング
サーブはダブルスにおいても重要です。特にダブルスにおいては、パートナーが常にネットポジションにいることから、パートナーのポジショニングを利用して、レシーバーにプレッシャーを与えることができます。サーブ、リターン、次のショット、ラリー3球分のイメージを共有してプレーすることが必要です。
Aセンターセオリー
ダブルスにおけるセンターセオリーは、より攻撃的な配球として2人のプレーヤーの間をねらうという意義があります。また、平行陣の場合など心理的オープンコートとしてセンターを衝く配球も効果的です。さらに、コートのセンター寄りのコースをねらうことで、相手に角度をつけさせない効果があります。
Bロブ
基本的にダブルスでは常に相手ペアのパートナーはネットのポジションをとっていることから、パートナーに攻撃させない配球としてのロブは有効な戦術です。ロブを打つ際にもボールコントロールの原則である速度・回転・高さを調節することが必要です。
ダブルスでは守備的なロブだけでなく、攻撃的な低くて早いロブや、トップスピンロブで相手を崩す戦術も用いられています。
参考資料:テニス指導教本T