テニスの技術構造とその仕組みの知識と知恵

 
■テニスの技術構造とその仕組みの知識

 

 

 

 

 

テニスの技術構造とその仕組み

 

 

1.テニスの技術構造

 

テニスの技術を構成する要素としては、入力系として、打球技術の選択などを図るための状況判断能力や認知能力、また相手のプレーに対する予測能力、そして意志力などがあります。

 

出力系としては、基礎としての体力的要素があり、そして、フットワーク、ボディワーク、 ラケットワークの3つの要素が挙げられます。

 

これらは、すべて中枢神経を介しての筋肉活動であり、一つの運動様式として神経―筋が連動し、そして適応していくことによって(最初は意識しながら行うが、反復練習を積んで無意識でも行うことができる状態)完成された技術となります。

 

そこでは、運動の時間的調整(タイミング)空間的調整(スペーシング)力の強弱の調整(グレーディング)という要素の調整能力が重要なのです。

 

 

2.テニスの技術の仕組み

 

 

テニスでは、シングルスやダブルスなどのゲームを行う能力を全体技能としてとらえることができ、それらは、基礎技術、応用技術などの部分技能に支えられています。

 

試合においては、戦術や作戦、プレーパターン、およびプレーへの集中力、状況判断、自己コントロールといった心理的能力、さらにダブルスでは、陣形、パートナーシップなどが勝敗に大きく影響し、これらを高めていくことも重要となります。

 

 

■テニスの技術トレーニング

 

 

技術の学習・トレーニングでは、バラエティーの豊かさや複雑さを初期のころから考える必要があり、特にテニス競技では、このような考え方が重要で、パフォーマンスに大きな影響を与えます。

 

では、いつから技術・体力・戦術トレーニングをはじめなければならないのか?互いの位置づけは?の疑問について基本的な考え方をまとめました。
 
 
■基本的な技術、体力、戦術の位置づけ(年齢段階 ・トレーニング期間・特徴)

 

 

□基礎トレーニング 5〜8歳 2〜3年

 

・多方面にわたる身体の一般的なトレーニング

 

・基礎技術の習得、一般的筋力、反応・巧みさの訓練

 

 

□専門トレーニング 9〜12歳 2〜4年

 

・運動学習、技術練習にとって最もふさわしい時期

 

体力:基礎体力の向上、反応や回数をかけるトレーニング、パワー・有酸素持久力、柔軟性のトレーニングを行う

 

戦術:技術的能力に依存したものになる

 

 

□競技力トレーニング 13〜16歳 2〜3年

 

・技術と種目固有の体力のトレーニングは、時間的にも量的にも同程度のものとなっている

 

・戦術は、技術と体力に依存した形で強化される

 

 

□最大競技力トレーニング 15,16歳以降 トレーニング開始後 6〜8年

 

・技術と体力のどちらかに重点が置かれる

 

・両者のレベルを調和させることが重要

 

 

参考資料:テニス指導教本 テニス指導教本T

 

 

■テニスの技術構造とその仕組みの知恵

 

 

テニスの技術構造とその仕組みを知ることでコーチは選手の抱えている強みや問題点を見つけることが容易になります。自分が教えている選手を思いだしてください。その選手の技術的にある程度満足しているところと、物足りないところに当てはめれば技術面での確認ができます。

 

 

観方としては出力・入力どちらからでもいいのですが、例えばシングルスで振られたときのショットがうまくいかない場合を考えてみます。

 

 

出力でいうと走る筋力があるか、打てるバランス(体幹)があるか、それに対するフットワークが合っているか、力がうまく出せる身体の使い方が出来ているか、スイングの方向が合っているか。

 

 

入力でいうと相手の打ってくるボールの予測が出来たか、ボールの入りかたで打てるのか返すのかの判断が出来たか、それをしっかりやろうとしたか。これらをチェックすればどこを直せばいいのかが分かります。

 

 

コーチになりたての頃はどこをどうアドバイスすればいいのか分からなくて悩むものです。これらを理解すれば見えない部分が見えてくるのです。

 

 

ある程度レベルが上がると、ゲームを行う時の問題点が出てきます。相手のいない所に打つにはドロップショットやロブなど基本技術を応用して使います。さらに、戦術や作戦をたてたりフォーメーションなどのポジションなどの考え方もあります。

 

 

レッスンでは今の技術で出来るプレーをしながらレベルをあげるポイントを見つけていきます。ダブルスなら雁行陣なのか平行陣なのか、ストロークが得意か、ボレーが得意かによってもプレースタイルは変わります。

 

 

上達するにつれ、技術から駆け引きや裏をかくなどメンタル的な部分が増えてきます。もちろん体力的にもきつくなります。メンタルでよく聞くのは「試合でリードすると勝てない」ですが、これなどはメンタルの持ち方を直せば勝てるようになります。

 

 

メンタルは結果に意識が行くと集中力が落ちるいうことを知っているかどうかです。もう勝てる、勝てそう、このゲーム取ったら、とすべて結果に集中してしまうことで現在のプレーに集中できなくなるのです。

 

 

さらに、怖いのは集中力が落ちるとビビりが顔を出してくるのです。一気にマイナスイメージになります。厄介なのは集中のメンタルは落ちるのは早いのですが、戻すにはまず気持ちを0に(平常心)にしてからでないと集中力は上がってこないのです。その時点で試合は終わっています。

 

 

回避する方法は一つです。結果を無視して、この1ポイントを取るためにだけ集中することなのです。簡単なようで難しい自己コントロールです。気がついたら試合が終わっていたというのが理想なのです。


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