基礎技術と応用技術の知識と知恵

 

■基礎技術と応用技術の知識

 

 

 

 
 
■基礎技術の局面構造

 

 

基礎技術を分析すると、共通して、動きの目的に応じて、(1)準備局面、(2)主要局面、(3)終末局面の3つの局面に分けることができます。

 

 
T.準備局面

 

 

構えの姿勢(レディポジション)からバックスイング完了までを指します。次の主要局面と逆方向の動きによって特徴づけられ、主要局面を効果的に、経済的に遂行するための導入的役割を果たします。

 

 

@構えの姿勢(レディポジション/パワーポジション)

 

構えの基本姿勢は、以下のことがポイントになります。

 

●上体はやや前傾していること

 

●股関節や膝関節はやや屈曲していること

 

この基本に従って構えの姿勢をとることで、眼球反応時間(ボールの情報をいかに早く伝えることができるか)を短縮でき、また、股関節や膝関節まわりの筋をあらかじめ緊張させることができます。その結果、前後左右に素早く動くことが可能になり、次の動作への迅速な対応が可能になるのです。

 

 

Aバックスイングの役割について

 

●筋の伸張―短縮サイクル運動を作り出す

 

●スイングスピードの調整

 

 

Bスイングタイプについて

 

指導者は、選手のグリップ、ポジショニング、打ったボール等を確認しながら、スイングを選択させることが重要です。また、1つのスイングタイプにとらわれずに、打球の種類やポジショニングに応じたスイングを選択できるようにするのも1つの指導方法といえるのです。

 

〈サーブ、オーバーヘッドスマッシュ動作におけるバックスイングの種類〉

 

1、フルスイング

 

構えのポジションから、ラケット先端が地面を移動しながら、後方へ引かれるスイングをさします。

 

2、ショートスイング

 

構えのポジションから、ラケット面が顔の前を横切ってコンパクトに完了するスイングをさします。

 

 

〈ストローク動作時におけるバックスイングの種類〉

 

1、ストレートバックスイング

 

ラケットを地面とほぼ平行に後方へ引くバックスイングのことをさします。

 

2、ループバックスイング

 

円を描くようにして行うバックスイングである。ラケットの移動距離が長いので、ラケットヘッドスピードを効率よく生み出すことができるスイングでもあります。

 

3、アンダーバックスイング

 

ラケットを下後方へ引くバックスイングのことをさします。

 

 
U.主要局面

 

 

主要局面とは、バックスイング終了後のフォワードスイング開始時からインパクトまでをさします。フォワードスイングには以下の役割があります。

 

●効果的なボールを打球すること

 

●打球方向へのスイングの加速

 

●筋の伸張―短縮サイクル運動の遂行

 

 
V.終末局面

 

 

終末局面とは、インパクト後からフォロースルー終了までをさします。フォロースルーには以下の役割があります。

 

●ラケットの加速維持

 

●リカバリーのための準備

 

●障害予防(例:フォロースルーを急激に止めようとすると、肩関節などに大きな負荷がかかることになります。)

 

 

■基礎技術の特徴

 

 

@グラウンドストローク

 

利き腕側で打つフォアハンドストロークとその反対側で打つバックハンドストロークがある。スイングの動作のリズムは、下記の3時点(3拍子)を基準にタイミングをとるようにします。

 

1.ボールが飛来する方向を判断した時点で、ボディーターン動作。

 

2.ボールがバウンドした時点で、バックスイングが完了。

 

3.インパクト時点で、打球(フォワードスイング、フォロースルーの順で完了)

 

このリズムは技能レベルによってタイミングが違ってきます。初心者・初級者は、このタイミングで打つと、ボールの打点は頂点から低くなったところで打つことがおおくなり、バウンド後のボールの軌道などの情報が把握しやすく、安全に、楽に返球することができます。中級・上級者は相手コートに早く返球するという戦術目的のために、ボールの打点はライジングが要求され、2と3の間隔が狭くなり、早いタイミングでとらなければなりません。

 

ライジングの打点で打つには、卓越した打球感覚と打球地点に素早く移動できるフットワークを中心とした運動能力が要求されます。

 

 

Aサーブ

 

相手の返球の影響を受けない、自分でコントロールできる唯一のショットです。サーブにおけるパワーは、下半身のパワーを運動連鎖によって体幹部、そして上肢へと伝えていかなければなりません。

 

動きとしては膝→腰→肩→肘→手首→ラケットと各関節がうまく連動するようにしなければなりません。トスアップとラケットアップがほぼ同時にスタートして、1秒前後でインパクトになるように時間を設定することで運動連鎖がスムーズになり、力の効率が良くなります。

 

 

Bボレー

 

ボレーは攻撃性が強く戦術的にも重要であるが、早い判断力と素早いフットワークとラケットワークが要求される。ボレーの打球動作は次の局面からなっています。

 

1.レディポジションからスプリットステップ後、ボディーターン。
(飛来ボールの方向判断)

 

2.ボールの軌道に対してラケット面のセット、軸足の決定。

 

3.踏み込み足の決定、そしてインパクトでボールを少し下方向へプッシュ。

 

バックスイング終了時のラケットセットがボレーのキーポイントになる。ラケット面はやや上向きでグリップを先行させコンパクトなスイングを心がけます。

 

 

Cオーバーヘッドスマッシュ

 

ボールをタイミングよくとらえるためのフットワークがポイントとなります。動作は次の局面からなります。

 

1.レディポジションからスプリットステップ後、ボディーターン、ラケットセットをする。
     (ラケットセットは肘を肩より上げない位置にする)

 

2.横向き姿勢を維持しながら打球地点へ移動する。近距離の移動はサイドステップで、移動距離が  
  長かったり素早い移動を必要とする場合は、クロスステップ、スモールステップを用いる。

 

3.打球位置で軸足を決め、スイングの開始と同時に踏み込み足で体重移動を行う。

 

※スマッシュは空間認知とタイミングが難しいショットですが、最初にジャンピングスマッシュから導入するとタイミングがとりやすくなる効果があります。

 

 

Dサービスリターン

 

コンパクトなバックスイング、フォロースルーでの対応が求められます。戦術的には「確実性」を第一に考えるが、余裕があればそれに応じて「深さ」「コース」をねらって打球し、相手プレイヤーのサーブパターンを予測することも必要です。

 

リターンで間違いが多いのはポジショニングです。ベースラインと平行に立っている場合が多く見受けられます。リターンはサーバーと正対した合理的待機位置に立ちます。サービスのスピードによりポジションはベースラインより前後させることが重要です。

 

■正対の位置→助走(予備動作)→スプリットステップ→ステップイン(一瞬止まること)→インパクト

 

 

Eアプローチショット

 

自分がネットポジションに行くだけの十分な時間のあることや、相手に攻撃されないように有利に行うことを考えなければいけません。相手のパッシングショットに備えたボレーの待機位置を考えてショットの方向を決める必要があります。

 

球種は、バウンド後ボールの弾みが低い逆回転のかかったスライスであれば、滞空時間が比較的長いので、ボレーのための合理的待機位置に移動しやすくなります。

 

打点が高くとれ、動きを止めて打てる場合は、オープンコートにドライブ系の回転で強打し、十分な返球をさせず、やさしいボレーにつなげるアプローチショットも有効です。

 

 

Fドロップショット

 

サービスライン付近で打球する有効で、相手のポジションを見て一番遠いところか、オープンコートに打つのが効果的です。相手の不意を突いたり打球動作を隠すなど、相手に悟られないようにする必要があります。

 

 

Gハーフボレー

 

ブロック面の早い確保と低い姿勢の維持による目線の固定が大切です。インパクトではコートに垂直なラケット面を維持し、抑え気味に前方へフォロースルーすることが大切です。

 

 

Hロブ

 

以前は相手からの攻撃的なショットに対し時間的な余裕を作るために、高く緩い弧を描くように打球するストロークと定義されることがありましたが、ダブルスなどでは逆に攻撃的なショットとして使われることもあります。守備的に使う場合はスライスロブ、攻撃的に使うにはトップスピンロブが基本です。

 

ロブをうまく上げるには、打点を高くすることが必要です。また、感覚が合わない場合は、真上に上げるつもりから始めることも一つの方法です。

 

 

Iパッシングショット

 

ネットポジションでプレーする相手の横や上を抜くショットです。相手を見て、ボールを隠したり、早いタイミングで打つことなど、時間的オープンコート、心理的オープンコートの考え方を利用することが有効です。バランスを崩したり、一度で抜くのが難しい場合は、相手の足元へ打って体制を整えることも必要です。

 

 

参考資料:テニス指導教本 テニス指導教本T

 

 

■基礎技術と応用技術の知恵
 

 

 

本や雑誌からの情報を読んで理解したと思えばイメージが湧きます。それを使ってプレーをしてみると最初はうまくできたりもするのですが、段々思い通りにはいかなくなります。

 

 

イメージだけでプレーしてるときは良いのですが、少し頭を使いだすとタイミングがずれてくるのです。テニスは理論を実行する時にはリズム・バランス・タイミングを加味しなければ現実にはうまくプレーできないのです。

 

 

コーチは打ち方(技術)だけを教えるのではありません。正確なインパクトが出来るように、ボールの予測の速さだったり、ボールに追いつくための効率の良いフットワーク、コートからもらった力がインパクトまでスムーズに流れる運動連鎖のタイミングなどを教えます。

 

 

その時に、時間(いつ)を入れた表現を使うことで伝わりやすくなります。例えばスプリットステップなどは、いつがなければ遅れてステップしている人が多くいます。「相手が打つ前にステップを」「相手がボールのバウンドを見た時ステップしてポーチに出る」などで実際のプレーが現実に近づきます。


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