グリップの知識と知恵
■グリップの知識
■グリップについての考え方
グリップとは、ラケットの握り方をさします。指導者が初心者に対して、一番初めに指導するのは、ラケットの握り方です。
テニスにはサーブ、ストローク、ボレー、オーバーヘッドスマッシュ等、目的に応じた様々な技術があるため、各技術の目的を効率よく遂行するためには各技術に適したグリップを利用する必要があるのです。
グリップは、ストローク動作時の身体各部の動きを示すボディーワーク、下肢動作を示すフットワーク、ラケットの動きを示すラケットワーク、そしてインパクト後のボールの方向、回転、速さ、深さ、高さといったボールコントロールの各要素に大きな影響をもたらすものです。
したがってグリップを効果的に指導するためには、グリップに適した技術、身体の使い方、プレースタイル、そのグリップのメリット等を詳細に理解しておく必要があります。
例えば、グランドストローク動作時にウエスタングリップを指導する場合には、打点が身体近くに位置すること、上肢の回転動作を十分利用できること、一方、イースタン・フォアハンドグリップを指導する場合には、打点が身体から遠くにに位置すること、肘関節を伸展させた状態でラケットがスイングされること等、グリップに適した身体各部の動きがあることを理解しておくことです。
しかしこれらはあくまでも目安であり、グリップにも個性がある。個々の骨格や体格、プレースタイルによっても異なり、選手個人の発育段階、あるいはプレースタイルや技術の変化によってもグリップは異なるはずなので、指導者は自己の経験だけを頼りに「グリップは絶対にこうしなければならない」などという指導をするのではなく、その選手に適したグリップを常に見つけていく手助けをすることが重要なのです。
グリップ指導の基本原則は、バイオメカニクスの項で明らかにされたように、各技術に応じて「よく打球する高さで、地面に比較的垂直な面がつくれ、打球方向へ大きな力を加えることができるようなグリップ」を指導することが大切です。
■基本技術のグリップ
1.サーブ、ボレー、オーバーヘッドスマッシュ動作
サーブ、ボレー、オーバーヘッドスマッシュ動作は、グラウンドストローク動作とは異なり、ラケットヘッドが手首よりも上方に位置した状態でラケットを操作しなければなりません。このような動作に対して、多くの選手は、コンチネンタルグリップの薄いグリップを利用しています。
●コンチネンタルグリップの特徴
1、手関節に過度な負担をかけずに、効率のよい、上方でのラケットの操作を可能にします。
2、手関節の可動域を大きく利用できます。
3、肩関節まわりの内旋・外旋動作、前腕の回内・回外動作を最大限に利用することができます。
4、瞬時の対応を可能にするグリップです。
2.グランドストローク動作
グランドストローク動作は、主として、水平面内でラケットを操作してボールを打球する特徴を持っています。イースタングリップ、セミウエスタングリップ、ウエスタングリップ、ダブルバックハンドグリップの特徴とそれぞれの動作との関係については以下の通りです。
●ウエスタングリップの特徴
1、打点の位置:肩の高さ、身体から近い。
2、身体各部の回転動作を最大限に利用できる。
3、ラケットの軌道が下から上方へと移動するため、ボールに順回転を与えやすい。
4、フォロースルーは、ラケット面が顔の前を横切って、腰の辺りで終了するスイングを生み出す。
5、ボールが高く弾むコートで利用しやすい。
●セミウエスタングリップの特徴
1、打点の位置:胸の高さ、身体からやや近い。
2、身体各部の回転動作を最大限に利用できる。
3、ラケットの軌道がやや下から上方へと移動するため、ボールに順回転を与えやすい。
4、フォロースルーは、ラケット面が顔の前を横切って、腰の辺りで終了するスイングを生み出す。
5、ボールが高く弾むコートで利用しやすい。
●イースタングリップの特徴
1、打点の位置:腰の高さ、身体から遠い。
2、主として、後方から、前方への並進運動を利用できる。
3、ラケットの軌道は、比較的水平に移動するので、フラットや、逆回転を与えやすい。
4、フォワードスイングの早い段階で、インパクト時に垂直な面を作ることが出来るので、正確性のある打球を打つことが出来る。
5、前方への大きなフォロースルーを可能にする。
6、ボールの弾まないコートで利用しやすい。
●ダブルバックハンドグリップ特徴
1、打点の位置:胸、腰の位置、身体から近い。
2、身体各部の回転動作を利用できる。
3、ラケットの軌道がやや下から上方へと移動するため、ボールに順回転を与えやすい。
4、利き手・非利き手の役割は、4:6から3:7をイメージします。非利き手側が重要。
参考資料:テニス指導教本
■グリップの知恵
グリップについては知識を知恵に変えるコーチングのグリップの考え方を参照してください。