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グリップの考察

 

テニスのグリップには名前がついています。ウエスタングリップ・セミウエスタングリップ・イースタングリップ・コンチネンタルグリップ・ダブルバックハンドグリップなどです。

 

 

コーチは当然グリップの名前は知っています。しかし、ここにあるグリップ名と実際の握り方が合っているかはコーチにより捉え方が違います。

 

 

ウエスタングリップは厚いグリップ、コンチネンタルグリップは薄いグリップ、このことはほとんどの書籍や資料を見てもこの捉え方は共通しています。ところが、どこまで厚いのがウエスタンでどこからがセミウエスタンなのかは意見が分かれています。

 

 

以前、テニスキャンプでオーストラリアのコーチが来た時に、ウエスタングリップについて話しをしました。日本では、ソフトテニスのようにラケットをコートに置いてそのまま上から持ったグリップがウエスタングリップと呼ばれていると実際に握って見せると、彼らはその握りはセミウエスタングリップだと答えました。もっと厚いグリップが彼らのウエスタングリップになります。

 

 

グリップが厚い順に
ウエスタングリップ→セミウエスタングリップ→イースタングリップ→コンチネンタルグリップ
となります。ややこしく感じるのはウエスタンとセミウエスタン、イースタンとコンチネンタルの境が曖昧だということです。

 

 

このようにコーチが思うグリップは、厚さの見方によって名前は多少変わることを理解して下さい。それぐらい、名前は大きな問題ではないということです。実際にはグリップ名は言わずに指導していることも多く見受けられます。

 

 

例えば、プレイ&ステイではノーグリップ(持ち方を教えない方法)で指導します。コーチはボールをラケットでつくときに何も言わず特別に注意はしません。上手くボールに力が入るグリップになればOKだからです。そうすると大体はウエスタンからセミウエスタンの間になるのです。

 

 

ただ一つ気を付けるのは、手のひらと手の指の関係です。大人は握る知識がありますが、子供は考えられない持ち方をする場合があります。手のひら全部がグリップにあたるようにすることと、親指とその他の指がグリップを挟むことは力学的に重要なことです。

 

 

では、この中でフォアハンドに一番適したグリップは何かと質問されたら話しは変わります。コーチはグリップに関する知識を使って説明しなければなりません。

 

 

グリップの特徴として一番ポイントになるのは打点です。つまり、厚いグリップほど打点が前になり、薄いグリップほど打点が後ろになります。それは、力の入るインパクトになるからです。

 

 

ここまではグリップの形(表面上)を中心に説明しています。テニスコーチの知識として持っていてほしいもので、テニススクールなどではよく質問がくるテーマの一つです。

 

 

ここからグリップを指導する場合に重要なポイントを挙げます。特にジュニアに対しては将来強くなるための必要条件です。テニス愛好家の方々にもボールが飛ばないとか面が不安定がという方には効果があるかもしれません。

 

 

グリップはしっかり握ります。それは違うと思った方も多いと思いますが、グリップはしっかり握らせます。確かにグリップを緩く握った方が余分な力が入らずヘッドスピードが上がるといわれています。しかし、ある一部のセンスのある選手を除いては手首や肘がルーズになり手打ち状態になってしまいます。

 

 

ゆっくり歩いていれば力が入らなくても大丈夫ですが、全力で走る時に手首、肘、足首は緩んでいますか?つまり、テニス競技ではスピードとパワーを使ってプレーしますので自然と肘や手首には力が入ります。そのパワーをインパクトに伝えるためにはしっかりとしたグリップが必要なのです。

 

 

現場では、まずはじめに、グリップを力いっぱい握らせて打たせます。そこから少しずつ力を調節して、最適なゾーンを見つけます。面が安定し、腕全体が振れるようになります。

 

 

最初は少しぎこちない感じがあるかもしれませんが、腕が一体化して振れてくるということは身体に力が入ってきます。下半身からのパワーが腰、肩を通り肘、手首からインパクトへと伝わります。もう一つポイントは、腕が一体化して力を伝えることでインパクトのタイミングが前になってくることです。

 

 

ランニングショットやプレッシャーがかかった状態で安定して全力でプレーしている時にぶれないショットを打つためにはこのグリップの力が必要なのです。

 


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