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ピーキングとテーパリングとは

 

選手が気を付けることは、試合の前のコンディショニングです。がむしゃらに練習で追い込んだ状態で試合に出ても「良いパフォーマンス」は期待できません。

 

 

試合でコンディションをピークに持っていくにはフィジカル・テクニック・メンタルを上げることは言うまでもありません。しかし、実際の試合で上手くコンディションを合わせることは難しいことです。

 

 

そこで必要なキーワードが「ピーキングとテーパリング」です。

 

■ピーキング
:狙った試合にベストの調子で臨めるように、コンディションを上げていく・調整すること。
■テーパリング
:練習とトレーニングの量や頻度を徐々に減らしていくこと。

 

 

選手はピーキングに持っていくために当然、厳しい練習を行います。身体を追い込んでフィジカルを鍛え、全てのテクニックを自在に使える状態に整えます。しかし、ここで少しペースを落とす必要があります。

 

 

なぜ、ペースを落とすことが必要なのか、それがテーパリングだからです。言葉では「ペースを落とす」はマイナスなイメージですが、練習の量と頻度を徐々に減らすことに意味があります。

 

 

追い込んで練習をするとテクニックパフォーマンスは上がります。その代わりに疲労度が上がりフィジカルパフォーマンスは下がっています。そこで、練習の量や回数を減らしながら疲労回復をしてベストな状態に近づけるのです。

 

 

テニスにおけるテーパリングは、年齢や個人差が大きく、どの程度落としていくかは自分で見つけるしかありません。もちろん、ジュニアの間はコーチが管理してくれることがほとんどです。

 

 

ここで注意しておくことは、練習の量は控えても質は下げてはいけないということです。高いパフォーマンスを出すには練習の難易度は高く保ってください。

 

 

例としては、試合の3日前から1日練習が半日練習へ変わっても、必ずマッチ練習を入れておくことです。短時間に集中できる練習を入れておくことで、これまでの練習のパフォーマンスを維持することができます。

 

 

これまでにコーチした経験からは、小学生などは回復力が早く、前日だけの調整で済むことがありましたが、高校生になると2,3日かかる場合があります。年齢が上がれば上がるほどトレーニングと休息のバランスが大切になります。

 

 

あくまでも一つの仮説ですが、錦織選手が全米オープン準優勝できたのも、試合前に手術をして練習を休んだおかげで、ベストなテーパリングで疲労がほとんどなく、それまで追い込んだ練習通りにプレーできた結果と言えるかもしれません。

 


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