心技体とは
スポーツをするときに大切なのは心(メンタル)、技(テクニック)、体(フィジカル)の3つのバランスだと言われています。しかし、長年指導をしていると心技体だけでは解決できないこともありました。
心技体についてはたくさんの指導者の方がお話をされていますが、ここではスポーツ指導者の基本的な考え方の一つとして捉えてください。
最高のバランスは、メンタル100、テクニック100、フィジカル100が理想になります。しかし、実際にはフィジカルは強いがメンタルは弱いなど、全てが100ということはなく、指導者としては、一番強いところはさらに伸ばし、弱い部分は強いところへ近づけるように練習を組み立てていきます。
なぜなら、選手のパフォーマンスは3つのバランスの揃うところまでしか上がらないと考えるからです。メンタル80、テクニック70、フィジカル50であれば、プレーのパフォーマンスは50となります。例えば、テクニックは素晴らしくメンタルも強くても、フィジカルが弱ければ体力を奪う作戦にやられてしまいます。
すなわち、3つの数字が近ければ近いほど選手のパフォーマンスが安定していることを示し、3つの数字をあげることが、その選手のパフォーマンスを向上させる事になります。
80(心):70(技):50(体)=50(パフォーマンス) < 60(心):60(技):60(体)=60(パフォーマンス)
このように、選手を強くするために心技体のバランス指導をすることが指導者に必要な考え方なのです。突然強くなる選手などはメンタルだけが低かった選手だと考えると、このバランスは納得出来ます。
ところが、このような考え方を持って選手の指導にあたりますが、心技体のすべてが80%程度出来ているのに、その選手の目指しているレベルの試合に勝てないことがあります。
試合後にデーターのチェックをしても、少しミスが多い、決めるボールを決めきれていない、など試合では普通に起こりうる内容があるだけで原因を掴むことができません。
選手を育てているコーチが、選手の実力に対して戦績が合わないと感じているとき、コーチはテクニック、フィジカルについては現実プレーでレベルが分かっていますので、メンタルに問題を見つけようとします。しかし、選手と話してみてもモチベーションは高く、集中力もありメンタルの問題もない場合に考えられることがスポーツビジョンなのです。
「心技体視のトータル思考」の視がこのスポーツビジョンといえます。これを加えて総合的な指導が確立していきます。テニス競技はもちろん、他の競技に関してもスポーツビジョンが非常に重要になります。イチロー選手のスポーツビジョン能力が高いことは有名な話です。
この「心技体視のトータル思考」を理解し、駆使して選手の夢を叶えさせてあげたいものです。