スポーツビジョンとは
スポーツビジョンを考えるときには「視力」と「視覚」の違いを理解します。普段使われている「視力」とは単に映像を映し出しているにすぎません。しかし、「視覚」(ビジョン)には映像に「情報」や「意味」が加わります。
簡単にいうと、視力検査で行っているのが一般的な「視力」です。1.0もあれば普通にボールは見えていますし、選手本人もボールが見えていることを疑いません。
ここに落とし穴があります。「視力」で見えているボールは、実は見えていない。まるで禅問答のようですが、我々の周りには、「見る」と「観る」、「診る」、「視る」などたくさんの「みる」があり、英語でもsee、look、watch、view、observeなどがあります。つまり、「みる」にはたくさんの意味があり、「視力」だけでは解決しないのです。
「視覚」とは先ほど述べたように「見えているもの」に情報や意味が加わり、見えているものの広さや幅、奥行き、空間認識などと捉えられます。ボールは見えていても、どこまで飛んできているのか、どれぐらいの速さなのかが分からない、分かりにくいなどは「視覚機能」が弱いといえます。
いつも練習している相手やコートであれば慣れもあり、「視力」だけでもプレーできますが、別のコートで違う選手とプレーすると狂いが生じてくる。このような状態が先ほどの実力通りに勝てない選手の原因となります。
練習会や講習会で、運動能力と合わないプレーをしている選手を見つけると、眼のチェックをしています。顔を動かさないで、こちらの出した指先を目で追ってもらいます。その、眼球運動を見ていると大体の判断がつきます。
実際にやってもらえれば分かりますが、指先を顔から30pほど離して、上下左右斜めに60p幅程度で動かすと、追っている眼球の動きが滑らかなところと、動きが悪いところがあります。前後は両目の間に30pほど離した指先を、近づけたり離したりすると、寄り目になったり離れたりします。その時に両目が同時に寄る離れるができているか、はやく滑らかに動いているかなどをチェックします。これまでおかしいと思ってチェックした多くの選手には眼球の動きが悪いところがありました。
眼球の動きを改善するためのビジョントレーニングを教えていますが、改善には時間がかかりますので普段のトレーニングの一環として取り入れることが必要です。
ビジョントレーニングはインターネットで調べればたくさん出てきますので試してください。