スポーツ活動中に多いケガや病気(外科)の知識

 

 

■スポーツによるケガの頻度と傾向とは

 

 

指導者にとってスポーツによるケガの頻度と傾向を知ることは、自分が担当する競技のケガを予測することができ、それに対する予防方法などの対策を立てることができます。

 

 

スポーツ全体でみた場合はケガの発生率は約1%程度です。これが学校における発生率になれば5.9%となり、さらに中学生が9.2%と一番高く、小学生、高校生の順番になっています。つまり、この発生率は体育の授業や部活動など学校でのスポーツ頻度が高く、当然ケガの頻度が高くなっていると考えられます。

 

 

中学生が一番高い原因については「心・技・体それぞれが未発達で心・技・体のバランスが崩れやすい時期」といえます。この基本講座の内容を学習していくとつながりが理解できます。

 

 

傷害の活動種目別発生率を見ると、種目別ではコンタクトスポーツやウインタースポーツ、自転車競技などのスピード系の道具を使うスポーツが高い数値で、1位はアメリカンフットボールの9.5%、3位ウインタースポーツ、4位自転車競技ですが、陸上や水泳は0.5%以下の低い数値です。

 

 

傷害の種類別発生率を見ると捻挫が33.6%、骨折29.4%、創傷20.3%ですが、男女別にみると女子は捻挫→骨折ですが、男子は骨折→捻挫の順になっています。年齢別で見てみると、11歳〜15歳の骨折は44.2%、20歳〜30歳では23.5%となり、成長期の影響が見て取れます。幼児期には頭部、顔面創傷が多い理由は5歳までに脳の重量は成人の90%にもなり、4〜5頭身で重心が高いことと、上肢の抑制機能が未熟で転びやすく受傷しやすいとも言われています。

 

 

部位別の発生率は足関節が20.6%、手指部19.8%、膝、下腿と続きます。競技人口が多い球技種目のバスケットボール、サッカー、バレーボール、野球などと関連している部位の確率が高くなっています。

 

 

また、ケガの発生シーンを練習中と試合中に分けてみると、コンタクト系のスポーツは試合中が多く非コンタクト系のスポーツでは練習中が多く受傷しています。指導者は種目によってケガの発生状況が違うことも理解して下さい。

 

 

■スポーツ指導者として覚えておきたい代表的なケガや病気(赤は外傷、青は障害)とは

 

 

頭頸部:脳震盪と頭蓋内血腫、頸部は脊髄損傷、頸椎捻挫、バーナー症候群
上肢:肩関節脱臼、肩鎖関節脱臼野球肩、野球肘上腕骨顆上骨折、舟状骨骨折TFCC突き指
体幹:腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、そ径部痛症候群
下肢:肉離れ、膝靱帯半月損傷(内側側副靱帯,前十字靱帯,半月板損傷)疲労骨折アキレス腱断裂、足関節捻挫、フットボーラーズアンクル、扁平足障害

 

 

■ケガを防ぐためには

 

 

怪我を防ぐためにすることはメディカルチェックです。特に基本的な体重の増減や睡眠状況、痛みや張りの有無などは定期的(毎日でも)にチェックが必要です。痛みや張りに関しては事前にテーピングなどの予防措置を忘れないようにしてください。体重や睡眠のチェックは慢性疾患の予防に役立ちます。

 

 

トレーナー、理学療法士やドクターとの連携体制を築くのも指導者の役割です。選手のメディカルサポートには欠かせません。指導者に信頼できるドクターがいればこれほど心強いことはありません。


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