救急処置(救急蘇生法)の知識
■救急処置(救急蘇生法)とは
救急処置(救急蘇生法)は、スポーツ指導者としてだけでなく、人として緊急の事態が発生した時にすばやく対応が出来れば、患者の命を救うことや予後が良くなり社会復帰が速くなる可能性が高くなります。
突然起こることで動揺したり冷静さを失ったりしますが、勇気をもって援助を求める人に手を差し伸べようとする積極性が大切です。まず、一次救命処置(BLS)を学んでいきます。
■一次救命処置とは
「心肺蘇生法ガイドライン2015」より引用
@反応を確認する。
周囲の安全確認をしてから傷病者に近づき、肩付近をたたいて意識の確認をします。
A応援を呼び、119番通報とAEDの手配をする。
応援者の中から通報と手配する人を指をさしてお願いして下さい。誰かでは動いてくれません。
B119番では通信司令員に指示を仰ぐ。
救急時の119番通報のポイント
1、救急である事をはっきりと伝える:119番通報すると「火事ですか?救急ですか?」と聞かれます。救急の場合は救急である旨を伝えます。
2、場所をはっきりと伝える:どこで起きたのかを出来るだけ正確に伝えます。住所がわからない場合は、目印になるもの(建物、電柱にある番地、店舗名、交差点名など)を伝えます。
3、何がおきたのかはっきりと伝える:目の前で人が倒れたのか、発見したときには既に倒れていたのか、怪我をしているのか、反応があるのか無いのか、事故があったのかなど、出来るだけ詳細に状況を伝えます。
4、名前と連絡先を伝える:通報者の名前と連絡先を聞かれるので、伝えましょう。
その後、「どうしたらいいですか?」、「心肺蘇生のやり方を教えて下さい」など相談して指示を仰ぎます。
電話は切らないようにして下さい。携帯電話からであれば、周囲に音が聞こえるスピーカーモードにする事ができます。または指令センターからの指示をあなたが大きな声でしゃべり、周囲のバイスタンダーに伝える方法もあります。
ガイドライン2015で強調された点:119番通報では、救急車の要請だけではなく、助言や指導を仰ぐことができます。
C呼吸の確認をする。迷ったらすぐに心肺蘇生を開始(胸骨圧迫)。
傷病者が正常な呼吸をしているか確認します。胸や腹部の動きを見て(上下に動いているか)判断します。口がパクパク動いていても死戦期呼吸と呼ばれる心停止直後の異常な呼吸があります。
D胸骨圧迫をする。強く(5cm以上を意識、6cm未満)、早く(100〜120回/分)、戻して(圧を解除する)、絶え間なく(10秒以上中断しない)
正常な呼吸かわからない場合など、判断に迷ったら直ちに胸骨圧迫を開始します。ガイドライン2015では迷ったら(疑わしきは)胸骨圧迫、とされています。すぐに胸を押しましょう。
EAEDを使う。
1、AEDの電源を入れる:フタを開けると電源が入るタイプ、電源ボタンを押すタイプがある。
2、電極パッドを貼り付ける:右胸と左わき腹それぞれに貼り付ける(※未就学児には成人用パッドを使用しない)。
3、AEDが電気ショックが必要かどうかを判断する:AEDが自動的に心電図を解析して、「心電図を解析しています。触れないで下さい。」と音声ガイダンスを流す。このアナウンスを聞いたら胸骨圧迫を中断して傷病者に触らないように離れる。
4、電気ショックのボタンを押す(必要な場合):電気ショックが必要な場合、AEDから「電気ショックが必要です。点滅しているボタンを押して下さい。」などの音声ガイダンスが流れる。それに従い電気ショックボタンを押す。
この時、電気ショックが不要であれば、「電気ショックは不要です。」と音声がでる。その場合は直ちに胸骨圧迫を再開する。
5、すぐに胸骨圧迫を再開する:電気ショックを行った後、または電気ショックが不要とアナウンスされた後はどちらの場合も、すぐに胸骨圧迫を再開する。
AEDを使用する際、一度貼った電極パッドは救急隊が到着するまで剥がさないようにして下さい。
電気ショックが不要といわれたり、傷病者が意識を取り戻した場合でも、万が一再度意識を失いAEDを使用する事になる可能性があるので救急隊員に引き継ぐまで貼ったままにします。
なお、傷病者が意識を取り戻した場合は、胸骨圧迫は中止します。
F人工呼吸が出来るのであれば行う(技術と意思があれば)。
救命講習などで気道確保と人工呼吸を習った経験があり、実践できるスキルのある人は、30回の胸骨圧迫の後、人工呼吸を2回行います。
G胸骨圧迫(人口呼吸)とAEDを繰り返す。
救急隊員が到着するまで、胸骨圧迫と人工呼吸、そしてAEDの使用を繰り返します。AEDの音声ガイダンスはこの流れの通りになっています。
30:2の割合で胸骨圧迫と人工呼吸を続けます。2分ごとにAEDが心電図を解析しますので、AEDのガイダンスに従い、解析に入ったら離れ、必要があれば電気ショックを行い、すぐに胸骨圧迫を再開します。
ガイドライン2015では、心肺蘇生を行っている時間のうち、最低でも60%を胸骨圧迫にあてる事を推奨しています。意識が戻り正常な呼吸に戻った場合や呼びかけに応じるなどのしぐさが出ない限りは心肺蘇生を中断してはいけません。