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■指導計画の立案の知識

 

 

 

 

 

1.指導計画を作成することの意義

 

 

目標の達成を目指す、効果的に指導を行うためには、事前に具体的な指導の進め方について検討を行い、指導計画を作成する必要があります。

 

指導計画の意義とは

 

1.目標までの道筋を把握し円滑に指導に当たることができます。

 

2.実施した結果を評価分析することで、指導を改善するための資料となります。

 

3.明確な「仮説」をもった指導計画を他の指導者と共有することにより、指導方法の研究に寄与できます。

 

 

2.指導計画の種類

 

指導計画は大別すると、1年間の指導の見通しを具体的にあらわした「年間計画」、明確な目標を2〜3カ月を一区切りとして計画を立てる「期計画」、期計画に応じて1レッスンをどのように展開するかをしめす「レッスン計画」があります。

 

 

3.期計画の作成

 

 

@期の目標設定とプログラムの内容

 

指導計画を作成する際に最終的にプレーヤーがどの程度できるようになっているかというゴールを最初に考えます。期計画においても最初に目標を考えなければいけません。

 

適切な目標を立てるにはプレーヤーにレディネスを把握しどんな発育段階にあるのか、今のプレーヤーのレベルも把握し、適した目標設定をしなくてはなりません。

 

技能目標・お互いのサーブからラリーを始め、易しいゲームをする 。

 

技能内容・ラケットを使ったボールの操作に慣れる。
     ・ワンバウンドでネット越しにボールをコントロールする。
     ・簡単なサーブでラリーをスタートする。
     ・得点を数えて相手と勝敗を争う。

 

認識目標・テニスの基本的なルールを理解し得点を数えてゲームをする。

 

認識内容・コート範囲を理解し、インとアウトを判断する。
     ・アウト、ネット、2バウンドなど、インプレーの終わりを理解する。
     ・ゲームで用いる得点方法を理解する。
     ・サーブ交替の順序と方法を理解する。

 

社会目標・ 仲間と協力したり競いあったりしながらテニスのゲームを楽しむ。

 

社会内容・ルールに従って相手と競い審判がルールに基づいて勝ち負けを判定する遊びに自主    
      的に参加するというスポーツの本質を理解する。
     ・スポーツにおいて尊重すべき要素とその意味を理解する。

 

情意目標・テニスが好きで、自分からテニスをプレーしようとする。

 

情意内容・ゲームの勝利や上達を経験し、身体的有能感を感じる。
     ・考え、工夫したことによる上達を経験し、統制感を感じる。
     ・仲間や指導者にプレーを評価される経験から、受容感を感じる。
 
 
A課題の検討

 

 

目標に対応した内容を設定した後はこれをプレーヤーに学ばせるための課題を検討します。

 

 

 
Bプログラムの配列と構成

 

 

●プログラムの配列で考慮すべきことは。

 

(1)基本的なものから応用的なものへ

 

(2)易しいものから難しいものへ

 

(3)外発的動機づけから内発的動機づけへ

 

などがあげられます。 

 

 

●プログラムは一般的に「導入」「展開」「整理」の3つの段階で構成されます。

 

・「導入(はじめ)」では、プレーヤーに目標や内容を理解してもらい、全体の見通しを持た
  せることによって意欲を高めます。

 

・「展開(なか)」は、目標達成に向けた具体的な指導が展開される段階です。プレーヤーが
  課題を習得するために、それに見合ったプログラムを配置します。

 

・「整理(まとめ)」では、指導内容をまとめ、最終的な成果を確認します。目標に対して
  どれほど達成されたかの評価をおこない、次の指導へのフィードバック情報を得ます。 

 

 

C学習タイプの種類と配置

 

学習のタイプには、基礎的、基本的な技術や知識の習得を目指す「習得型」、習得した技術や知識を活用する「活用型」、プレーヤー自身が自らの興味・関心に沿ったテーマを追求する「探求型」などが考えられる。期構成では、これらをバランスよく配置することが望ましい。

 

 

D「ゲーム」の種類と配置

 

ゲームの種類には、「メインゲーム」と「簡易化されたゲーム」があり、「ゲーム」の特性や魅力を失うことがないように、対象者のレベルに応じて各種「ゲーム」を配置していくことが大切である。

 

近年、TENNIS P&Sのシステムにより初心者・初級者において、期の当初からゲームをおこな
う「活用型」の指導を取り入れることが可能になりました。

 

これにより、習得型・活用型を並行して配置する期構成が可能となり、また従来とは逆に
「試しのゲーム」を期の最初に位置づけ、その中で必要性が明らかになった技術や戦術を抽出
して「習得型」の指導へとつなげていく展開も、初心者の段階から可能になりました。

 

 

4.レッスン計画の作成

 

 

@レッスン計画とは

 

毎日の指導を実施するにあたって、年間計画や期計画に基づいて1回のレッスンを具体化したものがレッスン計画です。

 

レッスン計画には下記の内容を記述します。

 

[基本事項]

 

日時、場所、指導者名、指導対象、準備する用具。

 

[レッスンの目標]

 

時間内に達成可能な具体的な目標。観点別に1〜3項目

 

[レッスンの展開]

 

△時間配分

 

△活動・内容

 

△評価の観点

 

△指導上の留意点

 

△備考、その他のメモ

 

 

Aレッスン計画作成の手順とポイント

 

 

1、目標と内容の明確化

 

レッスン計画の目標は、その時間内に達成可能なものでなければなりません。「ボレーのツーステップストロークをより確実なものにする」「シングルスの合理的待機位置の考え方を理解する」などが望ましいです。また、技能面だけでなく、認識・社会・情意、期全体を見通しバランスよく設定します。

 

 

2、プログラムの選択・配列の具体化と記述

 

レッスン計画は、それを見たほかの指導者が同じ活動を実践できる必要がある。そのためには、活動ごとにテニスコートの図などを用いて、プレーヤーや指導者の位置と動きに加えてボールの動きがわかるように記述することが大切です。

 

 

3、レッスンの基本的展開

 

レッスンの基本的展開は、期計画と同様に「はじめ(導入)−なか(展開)−まとめ(整理)」
の3段階で捉えることができます。

 

 

[導入]

 

コートやボールなどの用具の準備、安全確認、健康状態の把握、準備運動、目標の提示、グループ分け、コートの割りあてなどをおこないます。

 

 

[展開]

 

レッスンの中心的な指導がどのように展開されるのかを具体的に記述します。

 

 

[整理]

 

まとめとして、レッスンの目標がどれだけ達成されたかを評価、プレーヤーに上達を実感させることで、またやりたいという意欲を持続させることが重要です。

 

 

B指導上の留意点とつまずきへの準備

 

指導者にとって大切なことは説明や指示の時間を短くし賞賛、助言、励ましなどが多いことです。指示やプログラムについては極力短くし、プレーヤーの行動を良く見て賞賛、励ましなどを積極的に行うことが指導者として大切です。

 

計画作成時に、プレーヤーが指導過程において出会う課題やつまずきを想定して先取りし、その対策を考え準備しておくことによって、対応がよりスムーズになるのです。

 

 

参考資料:テニス指導教本T


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