■テニス指導における安全対策の知識
 

 

 
@−メディカルチェック

 

運動中に生じる死亡のほとんどが心臓や血管の病変による不整脈、心筋梗塞、脳卒中などで、普段の生活では、症状が出ていなくとも、「階段を登る、少し走る、重い荷物を持つ」などの軽い運動負荷がきっかけとなって発症し、死に至ることもあります。

 

メディカルチェックを行っておくことで前もってそれらの症状を見つけておき、予防に努めるのが大切です。

 

1.テニスを始める前のメディカルチェック

 

中高年齢者で、現在まであまりスポーツ活動をしてない人は、テニスクラブへ入会するときに直前に「テニスクラブに入ってテニスをしてもよいか」と医師に検査を依頼したほうが安全です。

 

テニスでは走ってラケットを振るため、骨や関節に対する負荷も大きくなります。このため整形外科にも「運動してよいか」というメディカルチェックを受けて、運動量や方法などを指導してもらったほうがいいのです。

 

2.運動する当日のメディカルチェック

 

1.食欲不振、睡眠不足、強い疲労感、胸がしめつけられる、動悸を感じる

 

2.発熱(37℃以上)、頭痛、風邪気味である

 

3.下痢、腹痛などの腹部症状がある

 

4.二日酔い

 

5.精神的に強く緊張したり、疲れている

 

6.関節を動かすと痛い

 

7.安静時の心拍数が毎分100拍以上ある

 

8.血圧が高い。最高血圧(収縮期血圧)160mmHg、最低血圧(拡張期血圧)95mmHg以上のとき

 

9.不整脈や安静時心電図で異常のあるとき

 

このような症状があれば当日の運動は中止すべきです。

 

3.運動中のメディカルチェック

 

1.めまい、または失神などの意識障害

 

2.胸痛

 

3.吐き気や嘔吐

 

4.強い呼吸困難

 

5.激しい疲労

 

6.ふらついて歩行失調がある

 

7.顔面が蒼白になったり、冷汗をかく

 

8.外傷を生じたり、急にどこか痛くなる

 

このような症状が見られたら、運動を中止して休ませますが、休んでも症状が変わらない場合は医師の下へ送る必要があります。

 

 

A−傷害防止の安全策と指導

 

運動量やその内容などを自分で調整でき、相手とはネットで分けられて接触しない、いわゆる非接触スポーツ(non-contact sports)なのできわめて安全です。

 

しかし自分の体力や技術レベルよりも高い運動を続ければ、過使用(オーバーユース)となって体を痛め、「スポーツ障害」を生じます。

 

1.運動の処方

 

運動の内容や量を毎日の練習の中で調整することで、スポーツ障害を予防することができます。

 

また、痛みなどで障害が生じた場合は我慢して続けさせるのではなく、スポーツ医学に詳しい医師に早い段階で相談させるのが症状を長引かせない方法です。

 

2.環境・用具の管理と指導

 

1.コートサーフェイスが滑ったり引っかからないように管理する。

 

2.ボールは選手の足元に転がしたりせずに、まめに集める。

 

3.選手のシューズがすり減ったり変形してないか、シューズがコートの種類やあしにあっているかを調べる。

 

4.ラケットの種類や柔軟性が選手の体力、とくに腕の力や技術にあっているかを調べる。

 

5.同時に複数のプレイヤーをコートで指導するときは、互いにぶつからないように注意する。

 

6.運動中のウォーミングアップ、運動後のクーリングダウンを正しく行う。とくに寒い日は十分に行う。

 

7.運動中も選手の顔色や表情などに注意しておく。

 

これらをチェックしながら、管理と指導に当たることが望ましいのです。

 

 

参考資料:テニス指導教本


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