■テニス選手に必要なコンディショニングの知識

 

@−コンディショニング

 

大切な試合に合わせて心身の状態をベストにもっていくことをピーキングと呼び、数日という単位で試合の日に心身のピークをもっていく調整法であって、選手がさらに心身の調子を向上させそれを維持していける状態にすることを示している。選手の心身状態に合わせて考えることが必要であり、具体的な方法もそれによって異なってくる。

 

指導者と選手とトレーナーが連携して、初めてよいコンディショニングができるということ。

 

A−テニス選手のマッサージ

 

1. マッサージを行う時期

 

マッサージを最大に発揮できるのはトレーニングや試合後であり、これによって疲労を除くことができる。

 

2.マッサージを実施してはならない状況

 

救急処置の必要な状況では、マッサージを実施してはならない。慢性的な痛みを訴えている場合は専門的な判断が必要な状態が多いので痛がる場合はマッサージをするという
軽率な行動をしてはならない。

 

3.マッサージの前に

 

練習や試合が終わったあとでマッサージを受ける場合は、シャワーを浴びる。マッサージを受ける前のシャワーは礼節な意味もあるが、温水で温める効果やリラックス効果もある。

 

 

 

B−テニス選手に必要なストレッチング

 

関節の動く範囲が十分で、筋力と筋の伸展性が十分に維持されていると、必要なときに必要な力を発揮できる。ストレッチングはこの関節の動く範囲を広げ筋の十分な伸展性を獲得するのに有効な方法である。

 

ストレッチングはウォーミングアップよりもクールリングダウンとしての意義が強く、関節の痛みを予防する自己管理法としても優れた方法である。

 

1.肩のストレッチング

 

@ラテテルベンディング(首側部)
頸側部の筋を伸展させる。

 

Aヘッドプル(首後側)
両手で後頭部を押さえる。

 

Bエルボープル
肩甲骨の外側の筋を伸展させる。

 

Cアームクロス(肩部)
肩甲骨の後ろ側の筋を伸展させる。

 

Dバックストレッチ(肩甲部)
肩甲骨の間の筋を伸展させる

 

Eアームサイクル(肩前側)
肩の前側の筋を伸展させる。

 

2.肘のストレッチング

 

@リストフレクション(前腕外側)
外側型の痛みを予防する。手関節や指を伸展させる筋のストレッチングである。

 

Aリストエクステンション(前腕内側)
内側型の肘の痛みを予防する。手関節や指を屈曲する筋、前腕を内側にねじる筋(円回内筋)の伸展を行う。

 

3.腰背部のストレッチング

 

@トランクローテーション(体幹回旋)
身体をひねる筋(腰方形筋・腹斜筋)の伸展を行う。

 

Aスクワットストレッチ(腰背部)
腰椎と骨盤を結んでいる姿勢を保つ筋群(仙棘筋・脊柱起立筋群)のストレッチ。

 

Bローバックストレッチ(腰背部)
腰仙部から背部の筋群の伸展を行う。

 

Cエクターナル・ローテーション(臀部)
股関節を含めた臀筋の伸展を行う。

 

Dニーブレス(臀部)
臀部で下肢を後ろに振り上げる大臀筋の伸展を行う。

 

4.大腿・膝関節のストレッチング

 

@トゥ・タッチ
腰仙部を対象に行うローバック・ストレッチと区別して行う。

 

Aクロス・トゥ・タッチ
トゥ・タッチよりもさらに伸展力を強くした方法。

 

Bクォードストレッチ
大腿四頭筋のストレッチング。

 

Cサイドプッシュ
大腿から足関節内側までの筋や靭帯の柔軟性が要求される。

 

Dニーストラドル
股関節の前内側にある筋のストレッチング。

 

5.下腿・アキレス腱部のストレッチ

 

@カーフストレッチ(ふくらはぎ)
下腿後側の筋の中で膝窩部に近い部位のストレッチ。

 

Aアキレスストレッチ
アキレス腱部のストレッチ。

 

Bシンストレッチ
シンストレッチはシンスプリントなどを予防するためのものである。

 

Cプランターストレッチ
足底や踵の痛みを防止する。

 

 

 

C−コンディショニングに応用できる方法

 

1.冷やす

 

@アイスバックA紙コップBビニール袋Cインスタントアイスバック

 

2.温める

 

@ホットパックA蒸しタオルBインスタントカイロ

 

3.交代浴

 

1(冷やす)と2(温める)で紹介したものを用いて「冷やすー温めるー冷やす」を繰り返す。関節などのように筋の組織が少ない部位で慢性的に症状が出ている場合などに有効である。
4.鍼・灸治療

 

筋の緊張を除いたり、組織の循環をよくし、疼痛の除去などにも効果がある。

 

5.塗布薬、充血剤

 

マッサージの時に合わせて使用すると効果がある。充血剤を使用する場合は状況をよく把握して使用する。

 

6.オイル・パウダー
マッサージの時に併用する潤滑剤

 

 

参考資料:テニス指導教本


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