■体力トレーニングの必要性とその原則の知識
1、体力トレーニングの必要性
パフォーマンス[競技力]とは次のように考えられます。
パフォーマンス[競技力]=体力(精神的要素も含む)×技術
これは、パフォーマンス向上させるためには、技術と体力を互いに高めていくことが必要であることを示しています。
もちろん、スポーツ種目によって2つの要因のバランスは違ってきます。テニスは、技術的要素の占める割合が大きいが、体力向上を図ることによって競技力が相乗的に向上していくことは明らかです。
@傷害の予防
身体のある部位の筋力が弱ったり、機能的に適切に使われてなかったりする場合運動中その部位はほかの部位よりも余分に負荷を受けることになります。
テニスは同じ動作の繰り返しのスポーツなので、弱い部位が連続して負荷を受けることになり身体の早期疲労につながり、突発性のスポーツ外傷、または、使い過ぎによるスポーツ障害の要因になることを示唆しています。しかし、これらはトレーニングによりリスクを軽減できるのです。
※「傷害」
スポーツ障害は、外力が許容範囲を超えて加わることによって起こる突発性の「スポーツ外傷」と
中長期にわたり使いすぎが原因の「スポーツ障害」に分かれます。
A運動能力の向上
技術的に同等の選手が試合をした場合、体力的に余裕のある選手が有利なのは明らかですが、体力要素(筋力,パワー,敏捷性,持久力等)はトレーニングによって向上させることが可能です。
そして、試合で質の高いパフォーマンスを維持し連戦に耐える身体づくりをするためには、計画的かつ継続的なトレーニングが必要になります。
B精神的優位性
運動能力向上の過程では、精神的影響を無視することはできません。体力的に優位になることで精神的にも余裕が生まれ、自信を持ったプレーができるのです。
また、計画的かつ継続的トレーニングは、身体的、精神的に充実感をもたらし、準備不足等による不安要因も取り除けます。
これらの利点から技術練習と連動して体力トレーニングをおこなうことは大変意義のあることになるのです。
2、テニスに必要な体力の要素
体力は、一般的にいろんな運動の総称で使われていますが、テニスに必要な体力の要素としては、筋力(パワー,筋持久力)持久力(無酸素性,有酸素性)、スピード、敏捷性、柔軟性、コーディネーション(調整力)などオールラウンドな体力が要求されます。
@筋力(パワー,筋持久力)
筋力は、テニス選手に必要不可欠は体力要素です。各ストローク動作、コート内でのダッシュ、ジャンプ動作、そして、フットワークなどにはすべて筋力が関与しています。
全身の筋力を向上させながら、筋力にスピードの要素を加味したパワーの向上を図ることが重要です。
また、パワーを試合の最後まで持続させることも重要であり筋持久力の要素を高めることが必要です。
A持久力
1,無酸素性持久力
動きのスピードやストロークのパワーを、試合の最後まで持続できるかどうかという能力を無酸素背持久力と呼び、これは、乳酸の蓄積に耐えることのできる能力でもあります。
これらの能力を高めるためには、最大スピードの90%程度の強度で休息を入れながらのインターバルトレーニングが効果的になります。
2,有酸素性持久力
これは、全身持久力の事であり、呼吸器循環機能(心臓,肺,組織の毛細血管など)の総合的能力のことです。
この能力が優れていると長時間のハードな練習や試合に耐えることができ、素早く疲労回復もできるので集中力も持続できるのです。
Bスピード
テニスに求められるスピードとは、ボールに早く追いついたりネットポジションへ早く移動したりする能力です。
スピード能力向上することで、プレーヤーはプレーに対する余裕ができ、守備範囲や攻撃力も増大します。そのためには、テニスの運動動作に類似した形で高めたい部分のトレーニングが重要になります。
C敏捷性
敏捷性は、動作のスタート、ストップ、切り返しなどのときに素早く動く能力です。スピードとの関連性が強く、この要素を高めることは打つ前の準備に余裕ができ、ショットの安定性を高めることにもなります。
D柔軟性
柔軟性とは、関節の可動性を表します。テニス動作をスムーズにするうえで身体の各関節の可動性を高めることが重要で、また障害予防にもなります。
ウォーミングアップやクールダウンでおこなうストレッチは柔軟性を高めるトレーニングの1つなので、常に身体を柔らかく使うことを心かけます。
Eコーディネーション(調整力)
コーディネーションとは、いろいろと変化する状況に対して敏速かつ正確に対応して運動を遂行する能力です。テニスの場合、神経と筋との協応性を高めることが重要なのです。
適切な打球動作や移動の技術を身につけるには、コーディネーション能力のなかでも、立つ位置や動作を状況に合わせて修正する「適応力」、身体の内部と外部の情報を区別する「差異化」、「バランス」、「反応」、「リズム」は必要不可欠です。
3、体力トレーニングの原理・原則
体力トレーニングは生理的な刺激(ストレス)でありトレーニング効果は身体への新たな刺激と刺激に対する適応によってもたらされます。刺激と適応の関係から考えた場合、3つの原理があります。
@オーバーロードの原理
どのような運動でも、ただやみくもにトレーニングを行えば体力が向上するというものではなく、ある一定レベル以上の刺激があたえられなければなりません。このことをオーバーロードの原理といいます。
トレーニングを行う際の運動刺激の質と量に関しては、強度・時間・頻度の3つの条件があるレベル以上になるように調整しなければなりません。
A特異性の原理
特異性の原理とは、トレーニングというものは、そのトレーニング特有の効果しかあげられないということです。
たとえば、有酸素性の体力が要求するスポーツ(マラソンなど)では、有酸素的なトレーニングを中心に行わなければなりません。
また、運動様式の違いにもこの原理は適応され、そのスポーツで要求されるものと同じ動きでトレーニングをおこなうことが効果を上げる重要な要素になります。
テニスの場合、持久的な能力を高めるためには、コート上でいろいろな動きを取り入れたトレーニングをおこなうなど運動特性に合わせた方法で行うことが重要なのです。
B可逆性の原理
トレーニングは継続して行わなければならず、中止するとトレーニング開始時の体力レベルに戻ってしまうという原理。体力トレーニングはできるだけ繰り返しまた継続して行うことが重要です。
↑上記3原理に加えて、学習という観点からトレーニングをより効果的にするために、次の5つの原則があります。
C全面性の原則
体力の諸要素に加え、道徳・意志・教養を善い良好な健康状態を保つことで専門的な体力、高度な技術を継続的に向上させる基礎となります。
D意識性の原則
実施者はトレーニングの課題をよく理解し、自ら積極的に取り組むことが大切です。指導者はトレーニングの目的・手段を明確にした練習メニューを作成します。
E漸進性の原則
トレーニングの量・強度・複雑さは、綿密な計画に基づき段階的に変更する必要があります。
F反復性の原則
体力・技術・精神力の向上や戦術の習得は、トレーニングを反復することで身に付きます。トレーニング効果を一定のレベルより低下させないためにも、適度な反復が大切なのです。
G個別性の原則
トレーニングを行うにあたり、性別、年齢、熟練度、健康、意欲、真剣さといった個人的な要因が考慮される必要があります。
参考資料:テニス指導教本T
■体力トレーニングの必要とその原則の知識
@−体力トレーニングの必要性
パフォーマンス(技術力)に関しては、次のように考えることができます。
パフォーマンス(技術力)=体力(精神的要素も含む)×技術
これは、パフォーマンスを向上させるためには、技術と体力を互いに高めていくことが必要であることを示しています。
テニスは、技術的要因素の占める割合が大きいですが、体力の向上を図ることによって競技力が相乗的に向上していくことは明らかです。
1.障害予防
テニスは同じ動作を繰り返すことが多いスポーツであり、弱い部位は連続して負荷を受けることになります。このことは、身体の早期疲労や使いすぎによる障害に繋がることを示唆していますが、トレーニングによりこれらのリスクを回避することができます。(外傷・障害の予防、軽減。疲労の軽減や回復を早める。)
2.身体能力の向上
体力(筋力、パワー、敏捷性、持久力等)はトレーニングによって向上させることが可能であり、コート上でのパフォーマンスをより良いものにするためにこれらの能力を向上させるトレーニングが必要となってきます(試合中に質の高いパフォーマンスが維持でき、連戦に耐えることができる。)
3.精神的優位性と充実
適切なトレーニング計画と日々のトレーニングへの継続的かつ献身的取り組みは、身体的ならびに精神的にも充実感をもたらし、準備不足等による不安要因を取り除くことができます(試合において、自信が強まる)。
A−テニスに必要な体力の要素
テニスに必要な体力の要素としては、筋力(パワー、筋持久力)、持久力(無酸素性、有酸素性)、スピード、敏捷性、柔軟性、コーディネーション(調整力)などが挙げられ、オールラウンドな体力が要求されます。
1.筋力(パワー、筋持久力)
全身の筋力を向上させながら、筋力にスピードの要素を加味したパワーの向上が重要です。また、パワーを試合の最後まで持続させることも重要であり、筋持久力の要素を高めていくことも必要なのです。
2.持久力
@無酸素性持久力
これは疲労物質である乳酸の蓄積に耐えることのできる能力でもあり、これらの能力を高めるには、最大スピードの90%程度の強度で、休息をいれながらのインターバルトレーニングを行うと効果的です。
A有酸素性持久力
この能力に優れていると、長時間のハードな練習や試合に耐えることができ、集中力も持続できることになります。また、ポイント間の休息期においても素早く疲労を回復することができるので、次のプレーに集中することができます。
3.スピード
スピード能力が向上すれば、プレーヤーはプレーに対して余裕をもつことができ、守備範囲や攻撃力も増大します。テニスの運動動作に類似した形で、高めたい部分のトレーニングすることが重要です。
4.敏捷性
前後左右にフットワークを使って、いかに効率よく、また素早く動くことができるか、この要素をトレーニングすることは、ショットの安定性を高めることになります。
5.柔軟性
柔軟性とは、関節の可動性を表すものであり、身体の各関節の可動性を高めておくことは、その動作をスムーズに行うためにも、また障害予防という点からも重要だと言えます。柔軟性に優れていると関節の可動域が大きくなり、サーブのスピードなどにもよい影響を与えます。
6.コーディネーション(調整力)
コーディネーションとは、いろいろと変化する運動に対して敏速かつ性格に対応して運動を遂行する能力のことです。テニスの場合、パフォーマンスを高めるためには神経と筋の協応性を高めることが重要なのです。
B−体力トレーニングの原則
1.オーバーロードの原則
どのような運動でも、ただやみくもにトレーニングを行えば体力が向上するというものではなく、ある一定以上の刺激を与えられなければなりません。
トレーニング負荷が弱すぎるとトレーニング効果は期待できず、逆に強すぎても過労現象が起こって障害の原因となり、トレーニング効果は期待できなくなります。
トレーニングを行う際の運動刺激の質と量に関しては、強度、時間、頻度の3つの条件があるレベル以上になるように調整しなければなりません。
2.特異性の原則
特異性の原則とは、トレーニングというものはそのトレーニング特有の効果しかあげられないということであり、有酸素性の体力を要求するスポーツは有酸素的なトレーニングを、無酸素性の体力を要求するスポーツは無酸素的なトレーニングを中心に行わなければなりません。
運動様式の違いにもこの原則は適用され、そのスポーツでされるものと同じ動きでトレーニングを行うことが効果を上げる重要な要素となります。
3.可逆性の原則
トレーニングは継続して行わなければならず、中止するとトレーニング開始時の体力レベルに戻ってしまうという原則です。体力トレーニングはできるだけ繰り返し、継続して行うことが重要です。
参考資料:テニス指導教本