■体力テストの実施と評価の知識
体力テストの目的は、現時点におけるプレーヤーの身体機能ならびに運動能力を把握することです。つまり、プレーヤーの体を様々な角度から観察し、分析・評価することによって長所・短所を把握しプレーヤーの特徴を踏まえたトレーニング方法につなげていきます。
1、テニスフィールドテスト
専門的な測定機器や医科学機器を用いて実験室の中で行うテストがラボラトリーテスト(等速性筋力、間欠的持久力、最大酸素摂取量、無酸素性作業閾値の測定等)です。
こういった測定は、特定の場所が必要で分析にも時間を要するため、より実践的な能力を「どこでも」「誰でも」「簡単に」「客観的に」測定することが可能なテストとして考案されたのが、テニスフィールドテストなのです。
(公財)日本テニス協会(JTA)で考案された「テニスフィールドテスト」は以下に示した項目です。
@測定項目
[基本測定6項目]
▲立ち幅跳び(下半身のパワー)
▲上体起こし(筋持久力)
▲5方向走(敏捷性)
▲長座体前屈(腰背部の柔軟性)
▲往復走(スピード)
▲シャトルスタミナ(全身持久性)
[オプション測定3項目]
▲メディシンボール投げ(上半身・体幹のパワー,コーディネーション)
▲アクティブSLR(ハムストリングスの柔軟性)
▲ヘクサゴン(ダイナミックバランス,コーディネーション)
Aテストに必要な用具
ストップウォッチ、メジャー(巻尺)、テニスボール、およびオプション測定項目に2sのメディシンボール、タオル、ガムテープと簡易なものです。
B実施方法
1,立ち幅跳び
両足の内側の間隔が約20pになるように開いて立ち、助走をつけず腕や体で十分に反動をつけて前方に跳躍します。実施回数は2回で良いほうの記録を取ります。
2,上体起こし
両足を約30p開き、膝を90度に保ち、両手を耳に当て仰向けに寝ます。「始め」の合図で、両肘を両大腿部につけ、元の姿勢に戻る。寝た時は必ず肩甲骨下部が床に着くまで上体を倒します。実施回数は1回で記録を取ります。
3,5方向走(スパイダー)
スタート位置は、センターマークを真ん中にしてつま先をベースラインの外側に合わせます。スタートの合図は声を出さずに下方に下げた手を上方に素早くあげます。
走り方は自由で、@に向かって走り交点にタッチします。そして、センターマークに戻り、@と同様にA,B、C、Dにタッチしたのち、センターマークを走り抜けるまでのタイムを0.1秒単位で計測します。実施回数は2回で良いほうの記録を取ります。
4,長座体前屈
2人1組で、向かい合って長座姿勢で、お互いに足首の角度を90度にたもって座ります。膝がまがらないように注意して前屈をおこない、最も突出している足指先の点(爪側)から最も突出している手の中指先の点(爪側)を結んでcm単位で計測します(つま先まで届かない場合はマイナス)。実施回数は2回で良いほうの記録を取ります。
5,往復走
スタート地点に立ちます。スタートの合図は声を出さずに下方に下げた手を上方に素早く上げます。上がった瞬間、反対側のベースライン方向へダッシュしてベースライン延長線上にあるボールに手でタッチし、方向を変えます。
そして、スタートしたサイドのサービスラインの延長線上へゴールします。1回の実施で、@スタートから10mまでのタイム、Aスタートからゴールまでのタイムの2つを0.1秒単位で計測します。
6,シャトルスタミナ
ネットと平行して10mの距離をとり、その両端に2個のボールを置きます。これと平行して、走行距離計測のための基準ラインとして、巻尺を10m伸ばし、1m間隔で印をつけます。
片方のボールの位置から「スタート」の合図で走り始め、反対側のボールの外側を回る折り返し走を3分間続けて、その間の走行距離を計測します。
ボールのまわり方については、右回り、左回り、8の字回りのどの方法でもかまいません。終わったらその場かけ足を続けます。計測単位は1mとし、1m未満は切り捨てます。実施回数は1回で記録を取ります。
7,メディシンボール投げ(投げる時の身体の使い方に注目する)
メディシンボールは2s、実施回数は2回で良いほうの記録を取ります。補助者2名(計測員1名、記録員1名)。
注意として、投球中は、ラインを踏んだり、ラインの外に出たりしてはいけません。柔軟性を確認し背・肩を痛めないように準備運動を十分に行います。肩関節が緩い場合には実施させません。
[前向き(3種類)]
テニスコートのラインを利用し、あらかじめ巻き尺を伸ばしておきます。ラインの外側に、両足を肩幅程度開いて立ちます。
助走をつけずに、腕や身体で十分モーションをつけて、両手で前方上に投げます。同様に右投げ、左投げはストロークのフォームを意識します。計測単位は0.01mとし、0.01m未満は切り捨てます。
[後ろ向き(3種類)]
投方向を背に構え、下から後ろへ両手でできるだけ遠くに投げます。同様に右投げ、左投げもおこない、前向き同様ストロークのフォームを意識します。計測単位は0.01mとし、0.01m未満は切り捨てます。
8,アクティブSLR(柔軟性)
仰向けに寝た状態で、反対側の膝下に丸めたタオルを置きます。この状態からテストする側の足首を背屈し、膝を伸ばしたまま脚を上げていきます。あげる際に反対側裏側がタオルに常に接しているようにし、骨盤も浮かないように注意します。両脚おこないます。
評価は、挙上した脚の内踝から地面への垂線が、反対側の大腿部中央と骨盤の間に位置したら3点。挙上した脚の内踝から地面への垂線が、反対側の膝関節より下腿に位置したら1点。挙上動作で痛みがあれば0点となります。
9,ヘクサゴン
正面向き、真ん中「+」の位置で準備する。「スタート」の合図とともに、図に示した番号順(外→内→外→内)に跳んでいく。3周して「+」に戻るまでのタイムを計測します。ラインを踏んだ場合は、1回につき「0.5秒」、ラインの順番を誤った場合は、1回につき「+1秒」を、計測後、記録に加算する。計測単位は1/100秒とします。実施回数は2回で良いほうの記録を取ります。
2、体力テストの評価
客観的に数量化された測定結果をある一定の価値基準に照らして判定し、できるだけ早く個人にフィードバックすることが重要です。
この測定は1回のみでなく、できる限り縦断的に行い評価することが望まれます。大切なことは、測定・評価した基礎資料をどのようにするかです。
指導者は、測定後にその判定した評価に基づいてトレーニング目標を決定し、プログラムを作成し、さらにトレーニングを実施する必要があるのです。
参考資料:テニス指導教本T
■体力テストの実施と評価の知識
体力テストの目的は、選手の身体状況を把握し、最適なトレーニング法を決定することです。つまり、選手の身体を様々な角度から観察し、分析・評価することによって長所・短所を把握し、選手の特徴や今後のトレーニング法を見つけ出すことにあります。
@−一般的な形態測定、体力・運動能力テスト
一般的な形態測定と体力・運動能力テスト項目
形態関係…身長、体重、胸囲、上腕囲、前腕囲、大腿囲、下腿囲、腹囲、胸囲、皮下脂肪厚
体力・運動能力…筋力、パワー、敏捷性、平衡性、協応性、柔軟性、筋持久力、全身持久力
A−テニスフィールドテスト
専門的な測定機器や医科学機器を使っての測定は、特定の場所が必要で分析にも時間を要するため、より実践的な能力を「どこでも」「誰でも」「簡単に」「客観的に」測定することが可能なテストとして考案されたのがテニスフィールドテストです。
テニスフィールドテストは、低年齢から成人まで、コート上で手軽に測定ができる簡便なテストであるが、その測定値は妥当性をもっています。年齢に応じて各選手の体力の現状を把握することによって、効果的なトレーニングが導き出され、また、トレーニング効果の判定にも利用できることになります。
さらに、この測定項目は、日々の練習に取り入れることによって、体力トレーニングとしても活用できる利点があります。
1.測定項目
●基本測定6項目
@立ち幅跳び(下半身のパワー)
A上体起こし(筋持久力)
B5方向走(敏捷性)
C長座体前屈(柔軟性)
D往復走(スピード)
Eシャトルスタミナ(全身持久性)
●オプション測定3項目
@間欠的シャトルラン(スピードの持久力)
Aメディシンボール投げ(上半身、体感のパワー)
B腕立て伏せ(筋持久力)
2.テニスに必要な用具
テニスフィールドテニスに用いる用具は、ストップウォッチ、メジャー、テニスボール、およびオプション測定項目として2kgのメディシンボールと簡易なものです。
3.基本6項目の実施方法
@立ち幅跳び
両足の内側の間隔が約20cmになるように開いて立ち、助走をつけず、腕や身体で十分反動をつけて前方に跳躍します。
踏切足先(両足の中央位置)からコートに触れた、踏切地点に最も近い位置の直線距離をcm単位で計測する。2回実施して良いほうの記録をとります。
A上体起こし
両足を約30cm開き、膝を90°に保ち、両手を耳にあて仰向けに寝ます。「始め」の合図で、上体を起こし、両肘を両大腿部につけ、もとの姿勢に戻ります。
寝た時は必ず肩甲骨下部が床につくまで上体を倒します。この動作を、30秒にできるだけ数多く繰り返します。1回実施してその記録をとります。
B5方向走(スパイダー)
スタート位置は、センターマークを真ん中にしてつま先をベースラインの外側(コート内に入らない)にあわせます。スタートの合図は声を出さずに下方に下げた手を上方にすばやく上げます。
走り方は自由で、@に向かって走り交点にタッチします。そして、センターマークに戻ります。@と同様に、A、B、C、Dにタッチしたのち、センターマークを走り抜けるまでのタイムを0.1秒単位で計測します。2回実施して良いほうの記録をとります。
C長座体前屈
2人一組で、向かい合って長座姿勢(両足の踵をつけ、膝を伸ばした状態で両者の足裏を合わせる)で、お互いに足首の角度を90°に保って座ります。
膝が曲がらないように注意して前屈を行い、最も突出している足指先の点(爪側)から最も突出している手に中指先の点(爪側)を結んでcm単位で計測します(つま先まで届かない場合はマイナス)。2回実施して良いほうの記録をとります。
D往復走
スタート地点(ベースラインの延長線上)に立ちます。上がった瞬間、反対側のベースライン方向へダッシュしてベースライン延長線上にあるボールに手でタッチし、方向を変えます。そして、スタートしたサイドのサービスラインの延長線上へゴールします。
1回の実施で、@スタートから10mまでのタイム、Aスタートからゴールまでのタイムの2つを0.1秒単位で計測します。
Eシャトルスタミナ
ネットと平行して10cmの距離をとり、その両端に2個のボールを置きます。これと平行して、走行距離計測のための基準ラインとして、巻尺を10m伸ばし、1m間隔で印をつけます。
片方のボールの位置から「スタート」の合図で走り始め、反対側のボールの外側をまわる折り返し走を3分間続け、その間の走行距離を計測します。ボールのまわり方については、右回り、左回り、8の字回りのどの方法でもかまいません。
終わったらその場でかけ足を続けます。計測単位はmとし、m未満は切り捨てます。1回実施してその記録をとります。
4.評価について
客観的に数量化された測定結果をある一定の価値基準に照らして判定し、できるだけ早く個人にフィードバックすることが重要です。
指導者は、測定後にその判定した評価に基づいてトレーニング目標を決定し、プログラムを作成し、さらにトレーニングを実施する必要があります。
そして、ある一定の期間が過ぎればトレーニングプログラム内容や方法の調整あるいは、負荷の設定をやり直しトレーニング実施者の意欲かを図ります。
最終的には、体力目標に対してどのような成果があげられたかをまとめて評価することも忘れてはなりません。
参考資料:テニス指導教本