■ウォーミングアップとクーリングダウンの知識
 

 

 
@−ウォーミングアップとは

 

ウォーミングアップとは身体的・心理的な準備状態や神経一筋の協調能力を高めたり、また障害の予防という目的で使われる運動のことをいいます。

 

一般的ウォーミングアップと専門的ウォーミングアップに分類されます。

 

■一般的ウォーミングアップ

 

テニスなどのような専門のスポーツ以外の運動・動作によって行われます。ジョグ、ストレッチ、アジリティダッシュなど。

 

■専門的ウォーミングアップ

 

ミニテニスなどをスタートに、テニスの各ストロークの基本練習などのように、技術的に類似した形で行う運動の事です。

 

 

A−ウォーミングアップの効果

 

1.筋温が上昇することで、筋の粘性、つまり内部摩擦が減少し、弾性が増します。この効果で筋の収縮力や弾性が高まり、障害の予防としても役立ちます。
 
2.心拍数が上昇し、身体の循環血液量が増大し、運動する筋肉へ酸素と栄養を十分に供給できるようになります。
 
3.呼吸・循環系の立ち上がりが早くなり、とくに強度の高い運動を行う時に適応しやすくなります。
 
4.精神的な準備状態を高めることができ、神経一筋の協調能力や運動の正確性も増します。
 

 

B−ウォーミングアップの方法

 

練習や試合前のウォーミングアップは、テニスの動きに必要な瞬発的な強度の高い運動に対応するために一般的ウォーミングアップ、専門的ウォーミングアップという順序で行うことが効果的です。

 

1.一般的ウォーミングアップの方法

 

@ジョギング

 

危険のない場所を選び行います。ほとんどの場合、テニスコートの周りを使って行います。

 

A徒手体操

 

膝の屈伸、上体前後屈、上体側屈、上体の前傾捻りなどをジョギングの合間に行うようにします。

 

Bストレッチング(静的)

 

全身の筋肉をゆっくりと伸展させます。時間は各種15〜30秒程度でリラックスした状態で行うことが重要です。

 

C動き作り(ダイナミックなストレッチングを含む)

 

動き作りは調整力やスキル、動きのある柔軟性などを高めることねらいとして行います。

 

Dスプリント(快調走・ダッシュ・コンビネーション)

 

テニスの場合、前後左右の全方向への激しいフットワークが試合開始直後より必要になってきます。この激しい動きに対応するために、快調走(70%走)や各種ダッシュを行っておく必要があります。

 

2.専門的ウォーミングアップ

 

@ミニテニス・グラウンドストロークラリー

 

最初は短い距離(ミニテニス)で身体の動き、リストワークなどの感触を確かめます。動きに違和感があればストレッチングなどで調整します。距離を広げてリラックスした状態でスイングを大きくし、身体全体をできるだけ動かすように心掛けます。

 

Aクロスストロークラリー

 

リラックスした状態でスイングを大きくし、身体全体をできるだけ動かすように心掛けます。

 

Bボレー対ストローク

 

ボレーをするときは、足は常に動かしておきます。

 

Cロブ対スマッシュ

 

できるだけ長く続けるようにします。オーバーヘッドスマッシュ側はフットワークを十分に使い、リラックスした状態で60〜70%の力で打つことを心掛けます。

 

Dボレー&オーバーヘッドスマッシュ

 

全力で行うというよりも60〜70%の力で実施し、ネットに対して前後の動きの確認を行います。

 

Eサーブ&レシーブ

 

肩に違和感がなくスムーズにサーブが打てるようになってからスピードを上げていきます。レシーブはリラックスした状態でタイミングを合わせるように打つことを心掛けます。

 

Fサーブからダッシュ、ボレー、オーバーヘッドスマッシュのコンビネーション

 

とくに、ネットプレー型の選手にはサーブ、ボレー、スマッシュのコンビネーションを行わせネットでの動きをよくしていきます。

 

 

C−クーリングダウン

 

1.クーリングダウンとその効果

 

クーリングダウンは、試合や練習で高められた身体の水準を効果的に下げていく運動で、筋ポンプ作用により筋肉に溜まった疲労物質としての乳酸の除去を促進し、疲労を残さないようにする効果があります。また、筋肉や神経の緊張を取るためにも有効です。

 

2.クーリングダウンの手順

 

練習や試合が終了したら、軽い運動(ジョギングやグラウンドストロークラリー)を行い、そのあとストレッチング(静的)を行うと効果的です。そのあとマッサージを利用することも、疲労回復のために有効です。

 

クーリングダウンはリラックスした状態で行うことが大切です。体力・競技レベルには個人差があるため「ウォーミングアップ」「クーリングダウン」は自分自身に合ったものを見つけ出すことが大切です。また、季節、気温、体調、試合会場などに合わせて調整することも忘れてはなりません。

 

 

 

参考資料:テニス指導教本


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