■体力トレーニングの実際の知識
 

 

 
@−筋力のトレーニング

 

1.アイソメトリック・トレーニング

 

アイソメトリック・トレーニングとは、筋の長さを一定に保ったままで力を発揮するトレーニングのことです。

 

トレーニングの利点は、一人で、しかもどこでも行える事です。動きの制限されるリハビリテーション用のトレーニングとして用いられています。

 

このトレーニングの強度は全力で、持続時間は6〜10秒間、頻度は1週間に20回程度行うと効果的です。

 

2.アイソトニック・トレーニング

 

バーベルやダンベルなどの負荷抵抗を用いて行うトレーニングでもあり、ウェイトトレーニングが代表的なものです。

 

初めてウェイトトレーニングを行う場合は、軽い重量、少ないセット数、そして多くの反復回数で行い、正しいウェイトトレーニングの技術まなぶことも大切です。

 

3.アイソキネティック・トレーニング

 

アイソキネティック・トレーニングは等速性トレーニングといわれ、ある運動を可動範囲全体に一定の速度に行わせ、どの時点でもオーバーロードがかかるようにし、効果的に高めます。

 

理論的には筋力とスピードを向上させるもので、テニス選手にとって、筋力トレーニングを効果的に進める上でも良いトレーニング方法です。

 

4.パワー・筋持久のトレーニング

 

筋力が増大してきたならば、次はパワーの向上に焦点を合わせることが必要となります。パワートレーニングは1RMの30〜60%の負担で行い、反復回数15〜25回、そして運動はできるだけ早くいわゆる最大スピードで行わないといけません。また筋持久力を向上させるには、負荷として1RMの50%前後の重量を用いて、30〜50回反復します。これを3セット、そして週に3日行うようにします。

 

5.プライオメトリック・トレーニング

 

筋が短縮性の筋力を発揮するとき、その直前に反射的に筋が引き伸ばされると、発揮するパワーが増大するという筋肉の性質を利用したトレーニングで弾性トレーニングとも言われています。

 

トレーニング動作としては、関節角度を反動的に逆方向へ動かし、素早く動きを切り換える事がポイントとなります。

 

負荷が高いため、身体の出来ていないジュニアなどには回数、頻度などの注意が必要です。

 

 

A−スピードのトレーニング

 

スピードのトレーニングは、筋力、持久力、パワー、の総合的 トレーニングに基づいて行います。

 

スピードトレーニングとしては以下の種類があります。

 

a,スポット・ランニング
b,インターバル・スプリント
c,フォルトレク・トレーニング
d,テニスコートでのスピードプレー

 

 

B−敏捷性のトレーニング

 

スタートやストップ、方向転換などのいろいろな動きを、コート上で素早く行えるようにするものです。

 

a,シャトルラン(左右走)
b,シャトルラン(前後走)
c,ファンドリル
d,ジグザグ走ドリル
e,ボレードリル
f,オーバーヘッドシュマッシュドリル

 

 

C−全身持久力のトレーニング

 

1.持久走トレーニング

 

ゆっくりとしたベースで休息なしにランニングを行います。走行中の心拍数は140〜160拍の範囲内で一定に保ち、時間は15分〜60分間行います。トレーニングに慣れるに従い、強度を上げていく事も必要です。

 

2.ファルトレク・トレーニング

 

ファルトレクトレーニングは屋外で行うアップダウンの地形や草原や砂地などの自然 環境を利用したトレーニングです。 軽強度と高強度の緩急の変化を盛り込むことでより 高いトレーニング効果を目指します。スピードトレーニングと同様に行います。

 

3.インターバル・トレーニング

 

急走期と緩走期を交互に繰り返して、全身持久力を向上させるトレーニングです。急走期の強度は、その競技特性に応じて走る距離を変化させるのが特色です。次に緩走期として1分45秒のジョギングを行います。

 

これを一回とし、10回程度反復します。トレーニングを重ねるにつれて回数を増やしていき、最初の回数の2倍になったところで、休息期の長さを短縮し、回数を最初に戻します。 

 

4.インターバル・スキルトレーニング

 

負荷期の運動をテニスのストローク練習で行うことにより、スキルの向上を考えながら全身持久力を高めていくトレーニングです。

 

送球されたボールをフットワークを使ってフルスピードで打つ事で15〜30秒間行い、30秒間の休息を取り、これを繰り返します。

 

 

D―柔軟性のトレーニング

 

ウォーミングアップやクールダウンのときに、関節の可動域を高めるために行う柔軟性トレーニングには2つの方法があり、一つはスタティック・ストレッチングと呼ばれる静的柔軟体操で、もうひとつはバリスティック・ストレッチングと呼ばれる動的柔軟性体操です。

 

1.スタティック・ストレッチング

 

全身の筋肉について行うことがのぞましいが、特にテニスでは足、大腿部、肩、腕を十分に伸ばしておく事が必要であります。ただし、過度に伸ばし過ぎないようにしてリラックスした状態でゆっくり行うようにします。

 

2.バリスティック・ストレッチング

 

1回の運動を10から15回繰り返して行います。ゆっくりと大きな動作で行うとが大切です。

 

・手首の運動・体感の運動・長座姿勢での足の運動・肩の運動 ・胸の運動 ・足の運動

 

 

E−調整力のトレーニング

 

 調整力を高めるためには、新しい動きやいろいろな運動が必要です。

 

1.移動運動
 
a.両腕を前または後ろに回旋しながら走る
b.右腕を後方、左腕を前方に回旋しながら走る
c.体を回転させながら走る
d.合図にいって方向を変える
e.うつぶせの状態でスタート
f.仰向けの状態でスタート

 

2.回転運動

 

a,前転  b.連続前転  c.後転  d.側転

 

3.障害走

 

平均台、跳び箱、ハードルなど用いて実施します。

 

4.球技

 

バスケットボール、ハンドボール、サッカーなど球技種目を行います。

 

5.テニス

 

a.ボールキャッチ
b.二人で二個のボールを使ってラリー
c.利き腕と逆の手でラケットを持ち近距離でラリー
d.ラケッティング足でのリフティング
e.オーバーヘッドスマッシュ練習

 

 

F−総合的体力トレーニング(サーキットトレーニング)

 

総合的体力トレーニングとは筋力、筋持久力、パワー、敏捷性、全身持久力、各種の器官や組織の機能を同時に高めようとするものであり、この代表的なのがサーキットトレーニングです。

 

サーキットトレーニングの負荷の選定は、最大筋力(1RM)の1/2〜1/3を目安とする。各種目それぞれ30〜60秒間に行える最大回数の1/2を目安とします。

 

負荷重量や反復回数が決定したら、8〜12種目を休憩を入れずに順番に行い、2〜3セット行います。(セット間は少し休憩)

 

全体を10〜30分で行えたなら、その所要時間の90%を目標時間としてトレーニングします。

 

 

参考資料:テニス指導教本

 


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