■中高年者の体力トレーニングの知識
@−加齢による体力の変化
健康促進やストレス解消、また体力の維持・向上にテニスを役立てている中高年も多いと思います。しかし、加齢による体力面の変化に気づいていない場合があります。熱心にテニス活動を行ってきた中高年プレーヤーが体力面の影響から動きに満足できず他種目に移行する例も耳にします。
一般的には老化は脚からといわれるように、加齢に伴い大腿前面の筋力が極端に低下します。しかし一方では、中高年も計画的なトレーニング実施により、身体機能の回復や体力の維持・向上効果もあることも周知のことです。
A−テニスにおける中高年の体力の現状
技術向上を伴い楽しさが増し、熱心に取り組む中高年の姿をテニスコートで見かけます。しかし、過剰な練習量から自己体力に比べて運動の負荷が大きくなってしまいます。
そこで、テニスをやっている中高年を対象に体力の現状を把握するために体力テストを実施した結果、一般的な体力標準値との差は見られませんでした。実際はダブルス中心の試合が多く、全身持久力を向上させるには難しいとされています。
しかし、別の調査ではテニスを行った結果、最大酸素摂取量が20%アップしたとの報告もあり、これからの研究報告を精査することも必要です。
安全で、効果的なテニス活動をするには、自己の体力の現状を把握する事。そして、筋力を維持・向上させるには、体力トレーニングを導入するとともに内容を検討する必要があるのです。
B−テニスの運動効果
テニス動作の特徴であるボールに追いつき打球し、また、方向を変え打球するというフットワークの動作が身体機能や下肢筋力の維持・向上に役立っているといえます。
1回二時間ラリーやボレー練習など比較的運動強度の高い練習を10週間実施結果では、心拍数や呼吸循環機能の動態を検討したところ、全身持久力の効果があると認められています。
C−中高年にとっての体力トレーニングとよりよいコンディションづくり
テニスは見た目以上に、実は体力を要するハードなスポーツなのです。テニスを継続する事により技術は向上するが体力的には加齢による低下傾向が現れていました。
中高年が体力トレーニングをする場合、健康状態や体力の個人差、生活様式や目的、目標などさまざまなものがトレーニングプログラムを立てる上で問題点となってきます。
加齢に伴う筋力の低下を出来るだけ抑えるため、さらには、維持・向上させるためにはある程度負荷強度が必要です。そして、自分の体力の現状を把握することが、テニスの技術向上においても近道であり、長く楽しむためにも不可欠なものではないでしょうか。
参考資料:テニス指導教本