テニス協会の普及と強化とは

 

テニス協会の普及と強化は各都道府県により、考え方も、システムも背景も様々ですが、ここではジュニアの普及と強化についての一つの方向を示します。

 

 

国体強化を9年やったおかげで、国体を控えた都道府県の協会の方や学校の先生方と多岐にわたるお話しさせていただきました。その中では強化が中心の話になりますが、国体後の普及や育成も話題にあがりました。

 

 

国体開催県は10年前に決まります。国体が決まれば各競技団体がプランを1年かけて作ります。その後3年毎に見直しが入り、計画が進められます。

 

 

ここで理解しておきたいのは、背景に国体があるかどうかで協会の活動内容が変わってくることです。都道府県テニス協会は、体育協会の傘下にあり、予算、人員、施設、日程など基本的に国体を中心に考えられていきます。

 

 

しかし、協会としては国体開催を利用(表現はよくないですが)して強化を進めることができます。当然、天皇杯・皇后杯のポイントが取れそうな競技に予算が多く配分されますが、それ以外の競技団体にも強化練習会費や遠征費などは増えてきます。

 

 

強化練習会では選手強化はもちろんですが、本当の目的は指導者育成です。県外に出なくても最新の指導法や理論を学んで、コーチのレベルアップを図り、担当コーチや、地域のコーチが学べる場を提供することが目的の一つです。

 

 

遠征の目的も選手強化は当然ですが、全国へのルートづくりが最大の目的です。全国のトップレベルの高校や、クラブとルートができれば、高いレベルで練習試合のマッチアップや合宿への参加などが容易になり強化への環境が整います。

 

 

当然、強化プランがスタートした時の選手は直接国体選手として出場するかは分かりませんが、指導者や協会役員スタッフはほぼそのまま変わりません。少年少女の国体選手は強化プランが始まった頃はまだ7歳〜9歳ですので、その選手が強化選手になった頃に国体でポイントの取れる位置に持っていける環境を整備するのが協会の役割です。

 

 

さらに取り組みの一つとして必要なのは、少年少女の強化に選ばれた選手が卒業しても、次の世代の強化練習会に参加する仕組みを作ることです。そうして強化のルーティンが続けられる基盤を確立させます。例えば12・14Uの練習会には16・18Uの選手に参加させて、16・18Uの練習会には大学生や一般の強化選手に参加してもらえることが、選手のモチベーションを引き上げることとチームワークの育成に役立ちます。

 

 

普及の取り組みとしては、国体ということでのコートの優先使用などで普及レッスン・ジュニア大会を拡充し、そのレッスンで新しい指導者の発掘・育成を行うこと。元強化に選ばれていた選手で手伝ってもらえる人で、普及の中から強化に移行できる選手の発掘を行うなどです。

 

 

ジュニア強化で、問題になるのは高体連とジュニア委員会との対立?があります。全ての協会がそうとは言えませんが、数多くの話を聴きました。解決策は一つです。選手のことを考えて、学校側とクラブ側から役員を同数にして調整会議を開くことです。内容は、ジュニア大会と中学、高校の大会の日程調整、各カテゴリーのシード決め、代表選手選考のルール作りなどがあります。

 

 

指導者の選手に対する思いは同じです。指導者自ら変わらなければ選手も変わることができません。勇気と決断をもって改革に取り組むことが協会の発展につながります。


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