■日本のテニス界の知恵
テニスコーチは、スクール生や選手からテニスに関する情報を質問されることも多く、テニス界に関する話や、現在のテニスの現状は知識として持っておくことは大切なことです。
少し前の日本のテニスと言えば錦織選手のことが話題に上がると思います。リオオリンピックで96年ぶりに銅メダルを取ったことや、女子では穂積・加藤ペアが全豪オープンでダブルス4強にはいったことなどタイムリーな情報は当然知っておくべきことです。最近では望月選手の活躍、大坂選手の出産後のカムバックで国別対抗戦出場などがあります。
しかし、話題性の高い情報だけでなく社会的環境の変化などの情報も必要です。スポーツ庁が発足し、スポーツ基本法が制定され法律の中にスポーツが組み込まれました。
テニスコーチとして、テニスの現状は知識として知っておかなければなりません。今、テニス界とは社会的に見て、スポーツ的に見て、国策の点から見てなど様々な視点から見ることで、自分がテニスコーチとしての立ち位置やこれからの方向性が理解しやすくなります。
現在、日本テニス協会が中心で、地域協会や市町村協会への指示や情報伝達などは行われていますが、その他にもテニス界には様々な組織と機能があります。関連団体を知ることで、斬新なアイデアが具体化されれば、実行に移せる組織を探しだし、その組織が現場からの提案をに受け止め、さらに上の組織がリーダーシップを発揮しながら推進することがこれからのテニス界には必要なことです。
社会環境としては、スポーツ基本法が施行されスポーツ基本計画も発表されました。スポーツ庁も設置されたことは国としてスポーツを推し進めていくことが分かります。スポーツ業界に携わるテニスコーチとしてもこれからスポーツ環境の変化を察知しての対応が求められます。
例えば「地域スポーツクラブ」の設置による地域コミュニティーを活性化させる事業に参加し、「外部指導者」として学校の部活とのかかわりを持つことも考えられます。施設を充実させればさせるほど指導者の養成が重要課題になるのです。
国策として見た時に、スポーツ指導者には国民の健康による豊かな生活と医療費削減の両面で期待が大きくなります。また、トップアスリートの育成は国力に比例するとも言われ、国としての威信がかかっています。
トップアスリート育成にはJOCゴールドプランから一貫指導システムの構築が進められましたが、競技力向上は心技体だけのスキルではありません。「グローバルスポーツ教育プログラム」と呼ばれる心技体に知的能力を加えたプログラムがこれからの競技力向上に欠かせないものになります。
授業では、一貫指導を一人のコーチがすべてを指導していくようなイメージでとらえていた学生がいましたが、テニスを始めた時のホームコーチから、学校の部活の先生、コーチ、大学の監督など、関わってくれる指導者全てが「発育発達に応じたテニスの指導」ができる知識やプログラムを共有して、どのレベルの選手にも、さらなる成長が出来るようにサポートできる体制を一貫指導としています。